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【事業再構築補助金2023】イチオシ!物価高騰対策・回復再生応援枠を徹底解説

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今回は、事業再構築補助金の「物価高騰対策・回復再生応援枠」制度について解説します。 

事業再構築で一番多くの事業者さんが申し込んでいたのが通常枠です。10次からは通常枠という名称から「成長枠」へ変更になりました。
「成長枠」では、10次以前に要件としてあった「売上減少要件」が撤廃されていて、一見使い勝手が良くなったように見えます。

その一方で、「成長枠」では「事前着手申請」という利便性の高い手続きができなくなったり、対象事業者は基本、事務局が指定した業種・業態という状況になっています。

よくよく要件を確認してみると、補助金額の上限は「通常枠」より低くはなっているものの、従来の「通常枠」に一番近いのは、「物価高騰対策・回復再生応援枠」という見方もできると思います。

「物価高騰対策・回復再生応援枠」には従来の「通常枠」と同様に「売上減少要件」の設定がありますが、その一方で、事業を早く始めることが可能な事前着手申請を行うことができます。
また、対象者の「業種・業態の事務局指定」はなく、本記事ののちの項目でご紹介する要件にあてはまっていれば申請が可能です。

それでははじめに、10次以降の事業再構築補助金についてざっくり簡単に解説していきます。

2023年度(令和5)の事業再構築補助金を簡単におさらい

制度の変更内容 

10次公募からは、従来の枠の大幅な見直しが行われ、より規模の大きな取り組みができる2つの枠が新設されます。

ここでの制度の見直しの主な概要は以下の通りです。 

【制度見直しの概要】 

項目 

内容 

「通常枠」が「成長枠」に変更 

・「通常枠」が「成長枠」に名称変更 
・上限金額は8,000万円から7,000万円に変更
・補助率1/2(大規模賃上げ達成で2/3) 

グリーン成長枠の変更 

・「エントリー」と「スタンダード」のコース に分類 
・上限金額 
「エントリー」:8,000万円(中堅は1億円) 
「スタンダード」:1億円(中堅は1.5億円) 
・補助率1/2(大規模賃上げ達成で2/3) 

物価高騰対策・回復再生応援枠 

の変更 

・上限金額は4,000万円から3,000万円に変更 
・補助率2/3(一部3/4) 

産業構造転換枠の新設 

・制度新設 
・上限金額7,000万円 
・補助率2/3 

サプライチェーン強靭化枠の新設 

・制度新設 
・上限金額5億円 
・補助率1/2 

※【事業再構築補助金2023】10次からの重要な変更点を解説!売上高減少要件の撤廃 

10次以前と物価高騰対策・回復再生応援枠の変更点 

物価高騰対策・回復再生応援枠は、2022(令和4)年度の第9回公募までの制度である「回復・再生応援枠」と「緊急対策枠」とを統合する形で設定される利用枠です。 

つまり第9回公募までは、回復・再生応援枠と緊急対策枠がそれぞれ別枠であったものが、第10回公募からは「物価高高騰対策・回復再生応援枠」という一つの利用枠に統合される、ということになります。 

また制度の統合に伴い、利用金額の上限が4,000万円から3,000万円に変更になっています。 

物価高騰対策・回復再生応援枠とは 

制度創設の背景は厳しい状況の事業者への手厚い支援

コロナ禍に加え、ウクライナ情勢の緊迫化による原油高や物価高に伴い中小企業等が更なる経済環境の悪化に苦しむ状況が続いています。 
こうした経済環境の下で、中小企業等がポストコロナ時代の経済社会の変化に対応した、危機に強い事業への再構築を行うことの支援を行う制度として設定されています。 

制度の要件3つ 

この利用枠は、下記の3つの要件を満たすことが要件とされています。 

【必須要件2つ】 

①事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
事業者自身で事業再構築指針に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けること。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)の確認も受けること。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません

②付加価値額を向上させること
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加させることが必要です。

引用:事業再構築補助金の概要(中小企業庁)

【その他要件2つのうちいずれか1つ】 

上記に加え、2点のどちらかを満たす必要があります。

① 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
②中小企業活性化協議会から支援を受け、再生計画等を策定していること
※売上高減少要件については、付加価値額(売上高×1.5)減少で代替可能

引用:事業再構築補助金の概要(中小企業庁)

中小企業活性化協議会とは、全国の商工会議所等が運営している公的機関のことです。47都道府県に設置されています。

制度要件におけるポイントは、2023(令和5)年度から売上高減少要件が必須要件ではなくなったという点です。 

そのため、「中小企業活性化協議会等から支援を受け、再生計画等を策定している」場合は、売上高減少要件を満たす必要はありません。 
従来の2022年度の緊急対策枠や回復・再生応援枠よりも利用しやすくなったといえます。  

上限金額・補助率 

上限金額および補助率は以下の通りです。 

【上限金額・補助率】 

項目 

内容 

補助金額 

【従業員5人以下】100万円~1,000万円 

【従業員620人】100万円~1,500万円 

【従業員21~50人】100万円~2,000万円 

【従業員51人以上】100万円~3,000万円 

補助率 

中小企業者等:2/3 

但し以下の場合は3/4 

【従業員5人以下】400万円まで  

【従業員6~20人】600万円まで  

【従業員21~50人】800万円まで  

【従業員51人以上】1,200万円まで 

中堅企業等:1/2 

但し以下の場合の補助率は2/3 

【従業員5人以下】400万円まで   

【従業員6~20人】600万円まで   

【従業員21~50人】800万円まで   

【従業員51人以上】1,200万円まで 

※事業再構築補助金 公募要領

物価高騰対策・回復再生応援枠のメリット3つ 

次に本制度利用上のメリットについて説明します。 

①補助率が高い 

「上限金額・補助率」の項で説明した通り、従業員規模に応じて一定金額までは補助率が3/4(中小企業等)、または2/3(中堅企業等)となります。 
一定金額までは成長枠(旧通常枠)より有利な補助率の適用を受けることができます。 

②採択率が高い 

第7回の公募結果が事務局より公開されていますが、それによると通常枠の採択率(※)が47.3%であるのに対し、回復・再生応援枠の採択率が62.4%、緊急対策枠の採択率が55.4%となっています。 

制度の趣旨から言って、今後の公募についても成長枠(旧通常枠)より高い採択率となることが見込まれます。 

(※)採択率=採択件数 / 応募件数×100 

※事業再構築補助金 第7回公募結果 

③事前着手申請が可能な枠

事前着手申請とは「交付決定前」でも事業開始が可能となる制度のことです。

補助金は、基本、採択後に交付申請という手続きを行い、「交付決定」が出なければ対象経費の発注や支払いを行うことはできません。
事業者の方々は「1日も早く事業を開始して経営を立て直したい」と感じるかと思いますが、交付決定までは工事の発注や物品の購入を行うことができないというのが原則です。

一方で、事前着手申請を行い承認された場合、「交付決定前」でも事業を開始することが可能となります。
適用されるのは、2022年12月2日以降の設備の購入等です。
※2022年12月2日以前の発注、購入物は対象外です。

10次以降の事業再構築補助金について、事前着手申請が可能な枠は3つ「物価高騰対策・回復再生応援枠」「サプライチェーン強靭化枠」「最低賃金枠」だけです。

事前着手申請について、もっと詳しく知りたい方は下記のコラムを合わせてご覧ください!

【徹底解説】事前着手申請の書き方や方法!理由の例あり(事業再構築補助金)

今後の申込状況や採択率はどうなる? 

次に次回以降の申込状況や採択率について考察してみたいと思います。 
2023(令和5)年度の事業再構築補助金は、以下の特徴が見られるようになるのではと思います。 

①売上高減少要件の撤廃もあって、応募者数が増加する 
②サプライチェーン強靭化枠のような大型の補助金額を確保できる制度が組まれていることもあって、予算枠の消化が早い 

このようなこともあって、全体的に案件採択の難易度は上昇するのではないかと思われます。 
また採択率については、物価高騰対策・回復再生応援枠は制度の趣旨もあって、他の利用枠に比較して高い採択率が期待できるのではと予測しています。

以上から、制度の利用を希望する場合は早めの申込が必要かもしれません。 

まとめ 

事業再構築補助金の物価高騰対策・回復再生応援枠について解説してきました。 

事業再構築補助金は、政府の総合経済対策の一環として組成された、2022(令和4)年度の第二次補正予算で継続が決定しているものです。 
その中で特に物価高騰対策・回復再生応援枠は、コロナ禍に加え、物価高に苦しむ中小企業等にとっての事業再構築の切り札とも言える制度です。 
そういった背景もあって、他の利用枠に比べて補助率や採択率で有利というメリットがありますので、中小企業等の経営に携わる方々はぜひご検討をされてみてはいかがでしょうか。 

当社、アクセルパートナーズは、事業再構築補助金の第1回公募から事業者様の支援を行っております。 100社以上ご支援した沢山のノウハウをもとに、お客様の状況に合わせたサポートを提供いたします。 応募申請だけでなく、交付申請、実績報告といった先々のサポートまで、サービスメニューをご用意しております。 事業再構築補助金の申請をお考え、手続きでお悩みの事業者さまは、無料相談フォームよりお問い合わせください。

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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