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人的資本経営とは?実現のために取り組むポイントを紹介!

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会社や企業を運営していくうえで、必要不可欠なものが人材です。人材に関する注目度が高まっている近年、「人的資本経営」という言葉が注目されるようになりました。

この記事では、人的資本経営の概要と実現のために意識するポイントを詳しく解説します。

人的資本経営とは?

本章では、人的資本経営の基本的な考え方について紹介をします。「人的資本経営」という言葉を聞きなれない方にとっては、難しい言葉に思えるかもしれませんが、本章で紹介するポイントをまずはおさえてください。

人的経営資本においては、人材を「資本」と考える

人的資本経営とは、「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」

参照:経済産業省HP「人的経営資本とは」https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/index.html

のことをいいます。つまり、「優秀な人材を育てることで企業の価値が高まる」と考える経営方針を指します。

 

現状

変革後

人材マネジメントの目的

人的資源を管理する

人的資本を活用させる

アクション

人事諸制度の運用・改善が目的

人材を活用した持続的な企業価値の向上が目的

イニチアチブ

人事部

経営陣/取締役会

ベクトル・方向性

内向き

投資家や従業員に積極的対話

個と組織の関係性

企業は囲い込み、個人は依存する

互いに選び合い、共に成長する

雇用コミュニティ

終身雇用や年功序列の囲い込み型コミュニティ

専門性を土台にした多様でオープンなコミュニティ

 

人的資本経営の具体的な取り組みを紹介

令和4年5月に発表された「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書~人材版伊藤レポート2.0~」https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/pdf/report2.0_cases.pdf

において実践事例集が紹介されました。本章では人的資本経営を実践している企業の実践例を、伊藤レポートを参考に紹介します。

実践例①伊藤忠商事株式会社:「労働生産性」を重視し、学生へ積極的に発信

大手総合商社最少の社員数であるため、少数精鋭の社員個人の力を最大限引き出すことを経営戦略としています。社員数に対する純利益を労働生産性の指標として、社外に公表しています。その結果、次のような企業価値の向上を達成しました。

・2020年度「女性が輝く先進企業表彰」にて、「内閣府特命担当大臣(男女共同参画)表彰」受賞

・主要7機関における就職人気企業ランキングにて全業種4機関で第1位、総合商社全機関で第1位

実践例②東京海上ホールディングス株式会社:最適な人材ポートフォリオを追求する人事制度

グループ全体をマネジメントする部門の管理職に、年齢や在籍年数にかかわらず能力のある人材を配置することでスピード感のある人材育成をすることを経営戦略としています。従来の年功序列型にとらわれることなく、能力のある人材を管理職に登用することで、専門性を軸に能力発揮や業績を適切に反映する評価体系を作りました。その結果、中長期的なキャリア形成が可能となりました。

実践例③株式会社丸井グループ:社員一人ひとりの自主性を促す「手挙げ文化」の醸成

10年以上の歳月をかけて、社員一人ひとりの自主性を促す「手挙げ文化」の醸成に取り組みました。具体的には、企業理念に関する対話、公認プロジェクトや研修等の参加、スタートアップへの出向、新規事業への参画を手挙げ方式にしています。その結果、4,500名以上が成長機会に自らの意思で参加をし、自立的な人材の育成に成功しました。

人的資本経営を実現したいときはどうしたらいい?

本章では人的資本経営に取り組むためには、具体的にどのようなポイントをおさえればよいかについて紹介します。人材版伊藤レポートにおいては、重要な3つの視点(3P)と5つの要素(5F)を提唱しています。

3つの視点とは?

3つの視点(Perspectives)とは、次の3つです。

・経営戦略と人材戦略を連動させること

・現実と理想のギャップを明らかにすること

・企業文化として定着させること

ひとつずつ詳しくみていきましょう。

視点①:経営戦略と人材戦略を連動させること

経営を行う上で、人材は不可欠な存在であるため、経営戦略と人材戦略が連動していることが重要です。経営戦略との関連性に重きを置きながら、人材の採用や育成などの人材戦略を考えましょう。

視点②:現実と理想のギャップを明らかにすること

自社の現状を整理して、理想とのギャップを明らかにしましょう。現状を知らずして人材戦略を練ることはできません。

また、人材戦略を練るときだけでなく実践段階においても、定量的に理想と現状のギャップは把握できるようにしておくことが重要です。ギャップを埋めるために、定期的に人材戦略の見直しをしましょう。

視点③:企業文化として定着させること

企業理念、企業の存在意義(パーパス)や目指すべき企業文化を定義し、社員全体が意識・行動し、定着させることが重要です。企業文化は人材戦略の実行プロセスからも醸成されることから、どのような企業文化を目指すのかを意識し、人材戦略を練ることも重要といえます。

5つの要素とは?

5つの要素(Factors)とは、次の5つです。

・動的な人材ポートフォリオ

・知・経験のダイバーシティ&インクルージョン

・リスキル・学び直し

・従業員エンゲージメント

・時間や場所にとらわれない働き方

ひとつずつ詳しくみていきましょう。

要素①:動的な人材ポートフォリオ

人材ポートフォリオとは、どこ(部署)にどのような人材(スキルや特性など)がどれくらい(人数や年数)いるかを示したものです。人材ポートフォリオの状況をリアルタイムで把握することで、人材ポートフォリオを適切に組むことができます。その結果、人材の最大限の価値を引き出すことが可能です。

要素②:知・経験のダイバーシティ&インクルージョン

ダイバーシティ&インクルージョンとは、多様な人材を受け入れ、その能力を発揮させる考え方のことを指します。すなわち、豊富な知識や経験、専門性などを持った人材を受け入れて、その人材の能力を発揮できる環境作りをすることが求められています。

要素③:リスキル・学び直し

社員がスキル向上のために、新たなスキルを身に付けたり、学び直しをする機会を得ることができるように支援することが重要です。社員一人ひとりのスキルを向上させることで、企業全体のスキルアップにつながります。

要素④:従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントとは、企業に対する従業員の貢献度や理解度を示す言葉です。従業員エンゲージメントを向上させるためには、経営陣と従業員の綿密なコミュニケーションが不可欠です。経営陣からの一方的な発信ではなく、従業員から経営陣に対しても積極的な対話ができる環境を作りましょう。

要素⑤:時間や場所にとらわれない働き方

就業時間や就業場所にとらわれず、多様な働き方を容認することが求められています。近頃ではフレックスタイムや在宅ワークを取り入れる企業が増えてきました。多様な働き方を容認することで、能力があるにもかかわらず、環境のせいで働くのが難しい人材が企業で働ける機会を設けることができます。

まとめ

本記事では、人的資本経営の概要と実現するために意識すべきことを紹介しました。本記事のポイントは次の3つです。

・人的資本経営とは、人材を資本として考え、最大限に活用する経営のあり方

・大企業を中心に人的資本経営の実現に取り組む会社が増えてきた

・人的資本経営を実現するためには3P5Fを意識することが重要

人的資本経営を実現したいときにはぜひ本記事を参考にしていただけると幸いです。

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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