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【徹底解説】経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援事業のポイント(先端電子部品編)

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令和5年11月29日、令和5年度補正予算が成立しました。今回のコラムのテーマである「経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靭化支援事業」に対しては、以下の通り総額9,147億円の予算が設定されています。 

対象物資 

金額 

半導体 

3,940億円(うちGX:2,540億円) 

半導体製造装置・部素材 

436億円(うちGX:266億円 

先端電子部品 

212億円 

クラウド 

1,166億円 

蓄電池 

2,658億円(GX) 

工作機械・産業用ロボット 

78億円 

航空機の部品 

327億円 

可燃性天然ガス 

330億円 

今回はこのうち、「先端電子部品」に焦点を当てて解説していきます。 

 

「経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援事業」の目的 

経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援事業は経済産業省が管掌しており、成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する」ことを目的に実施される計28の事業の1つです。なお、「成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する」分野の令和5年度補正予算は、経済産業省の補正予算の中で最大の2.7兆円規模です。国としても力を入れて強化していきたい領域である、とのメッセージが込められていると考えられます。その中で「経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靭化支援事業」は、厳しさを増す地政学的環境変化及び破壊的な技術革新に対応するため、重要な物資に関し、それぞれの特性に応じた、生産基盤の整備、供給源の多様化、生産技術の導入・開発・改良、代替物資の開発等の安定供給確保を図るための取組に対し必要な支援を行うことを目的とし実施される事業です。 

 

経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援事業」(先端電子部品)の概要

さて、今回のコラムの本題である、「経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援事業(先端電子部品)」の概要を見てみましょう。 

出典:経済産業省令和5年度補正予算の事業概要(PR資料) 

項目 

内容 

令和5年度補正予算 

212億円 

事業目的 

供給途絶が国民の生存や国民生活・経済活動に甚大な影響を及ぼす重要な物資に関し、安定供給に資する事業環境の整備に向けて、民間事業者等に対する支援を通じて安定供給確保を図る。 

我が国が長年にわたり蓄積してきた高度なノウハウや技術の流出を防止する。 

事業概要 

厳しさを増す地政学的環境変化及び破壊的な技術革新に対応するため、先端電子部品について、それぞれの特性に応じた生産基盤の整備、供給源の多様化、生産技術の導入・開発・改良、代替物資の開発等の安定供給を図るための取組に対し必要な支援を行う。 

成果目標 

厳しさを増す地政学的環境変化及び破壊的な技術革新に対応するため、先端電子部品のサプライチェーンの強靱化を図る。 

先端電子部品の安定供給を確保し、重要技術流出を防止することで、コスト競争力に優れた外国企業によって我が国企業が駆逐され、その後に供給を止められるリスクを防ぐ。 

 

特に重要技術流出の防止に関しては、他国への技術流出を防ぐ取り組みを実施するよう義務付けられる(=支援要件となる)見通しです。これは、令和5年11月29日に経済産業省が開いた「半導体・デジタル産業戦略検討会議」で示された方針で、具体的には、重要技術に関する情報に触れることができる人を限定したり、社員に守秘義務を誓約させたりすることなどが想定されます 

なお、先端電子部品には、「積層セラミックコンデンサー(MLCC)」と呼ばれる電圧の安定化などに必要な部品が想定されています。この部品は通信、家電、自動車、宇宙、軍需などのさまざまな産業で広く使用されている部品の1つであり、MLCCは、コンデンサ市場全体の50%以上を占めています。例えば皆さんがこのコラムをご覧になっているであろうそのパソコンにも、1台あたり1,000個ほどの積層セラミックコンデンサーが使われていると言われています。つまりこの部品が無いと、パソコンが作れない、ということになります。考えただけでも、恐ろしくなりますね。 

【参考】積層セラミックコンデンサー 

 

「経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援事業」(先端電子部品)の事業スキーム等 

「経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援事業(先端電子部品)」の事業スキーム等は下図の通り国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通して実施されます。なお、補助対象者は大企業中堅企業中小企業者小規模企業者です。 

 

【事業スキーム図】 

なお、NEDOについて詳しく知りたい方はこちらからホームページをご覧ください。 

 

まとめ 

いかがでしたでしょうか。今回は「経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靱化支援事業」のうち、先端電子部品について解説してまいりました。こうした支援事業の申請の際には、政府が意図する背景・目的をしっかりとおさえておくことが必要です。最新の公募要領などをご確認いただき、必要に応じて専門家の支援を受けることをおすすめいたします。 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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