ホーム > 補助金コラム一覧

【徹底解説】蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業とは

  •  
    公開日:

蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業」は自動車の電動化や再生可能エネルギーの主力電源化、5G通信基地局などのバックアップ電源として重要な蓄電池の国内製造能力と技術開発を強化し、中小企業も含めた産業の競争力を高めることを目的としています。本コラムでは、蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業目的、概要支援内容などについてお伝えします。 

 

蓄電池の重要性 

蓄電池は、2050年に目指すカーボンニュートラル(炭素排出量ゼロ)の実現において非常に重要です。具体的には、電気自動車などの電動車両にとってバッテリーが欠かせない技術であり、再生可能エネルギーの主な電源としても必要です。さらに、5G通信基地局やデータセンターなど重要な施設のバックアップ電源としても使用されており、多様なIT機器にも利用されています。これらの使われ方から、蓄電池は電化社会やデジタル社会において、国民生活や経済活動にとって重要な役割を果たしています。 

一方、日本の蓄電池産業は、2010年代前半には世界市場の50%以上のシェアを持っていましたが、中国や韓国の企業の台頭により、そのシェアは減少して現在は約20%程度になっています。リチウムイオン電池の市場がまだ主流である中、このシェアの減少が続くと、次世代の全固体電池などの市場で競争する前に、日本の蓄電池産業の基盤が弱まる可能性があります。 

 

蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業の目的 

経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律に基づく特定重要物資として政令で指定された蓄電池について、民間事業者等に対する支援を通じて安定供給確保を図るとともに、「蓄電池産業戦略」(2022831日)に掲げている目標達成のため、遅くとも2030年までに、蓄電池・材料の国内製造基盤150GWh/年の確立を目指しています。 

「蓄電池産業戦略」とは、2022831日に蓄電池産業戦略検討官民協議会より公表されたものでありますが、その中には下記の記載があります。 

 

「国内の自動車製造の安定的な基盤を確保するため、2030年までのできるだけ早期に、国内の車載用蓄電 池の製造能力を100GWhまで高める」(グリーン成長戦略、令和3年6月決定)ことに加え、蓄電池の輸出や定置用蓄 電池向けに必要となる製造能力の確保も念頭に、遅くとも2030年までに、蓄電池・材料の国内製造基盤 150GWh/年の確立を目標とする。 

 

これらの活動により国内の製造基盤を確立する目論見がわかります。 

 

蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業の概要 

経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律に基づき認定された民間事業者等の計画(以下、認定供給確保計画という)について、認定供給確保計画に基づく事業者の設備投資・研究開発等の取組に対して助成金を交付します 

 

 (1)蓄電池・蓄電池部素材等の設備投資支援  

蓄電池・蓄電池部素材等の国内製造基盤強化に向けて、大規模な生産拡大投資を計画する事業者、もしくは、現に国内で生産が限定的な部素材や固有の技術を有する事業者に対して、補助を実施します 

 

(2)蓄電池・蓄電池部素材等の技術開発支援 

我が国の強みである蓄電池の性能・安全性等を維持しつつ、課題であるコスト競争力を向上させるため、DXGXによる先端的な製造技術や最先端の製造基盤を確立・強化する技術の開発を行う事業者に対して、補助を実施します 

 

蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業のスキーム 

スキーム(対象者、対象行為、補助率等)は下記の図の通りです。 

蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業より引用 

 

補助率については下記の通りです。 

(1) 設備投資:1/3※ 

(2) 技術開発:1/2 
※:特定の要件を満たした設備投資については1/2 

 

まとめ 

いかがでしたでしょうか。 

本ブログでは、「蓄電池の製造サプライチェーン強靭化支援事業」について詳細に解説しました。この事業は、電動化が進む自動車業界や再生可能エネルギーの普及、5G通信基地局のバックアップ電源などに不可欠な蓄電池の国内製造能力と技術開発を促進するものです。蓄電池は、2050年のカーボンニュートラル実現においても重要な役割を果たし、デジタル社会の基盤を支えるためにも不可欠です。 

日本の蓄電池産業は過去に世界市場の大部分を占めていましたが、近年は市場シェアが減少しており、この傾向が続けば次世代の電池市場での競争力が低下する恐れがあります。この事業の目的は、政府が特定した重要物資である蓄電池について、民間事業者への支援を通じて安定供給を図り、2022年に発表された「蓄電池産業戦略」に基づき、2030年までに蓄電池とその材料の国内製造基盤を年間150GWhに拡大することです。 

事業の具体的な内容としては、政府が認定した民間事業者の計画に基づく設備投資や研究開発に対して助成金を提供しています。この助成金は、生産拡大投資を計画する事業者や、蓄電池の性能・安全性を維持しつつコスト競争力を向上させる技術開発を行う事業者に対して実施されます。これにより、国内の蓄電池製造基盤の強化と、将来の持続可能なエネルギーシステムへの貢献を目指しています。この事業は、日本の蓄電池産業の競争力を高め、国際市場での地位を強化するための重要な取り組みです。 

補助金の活用時には、最新の公募要領や事業概要ご確認いただき、必要に応じて専門家の支援を受けることをおすすめいたします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

補助金に関するお悩みは
アクセルパートナーズに
お任せください!

補助金の対象になるのか、事業計画から相談したい等
お客様のお悩みに沿ってご提案をさせていただきます。
まずはお気軽にご相談ください。

補助金に関する無料相談はこちら

この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

Xをフォローする