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【ものづくり補助金】勘違い注意!付加価値額伸び率目標が未達のときにはどうなるのか?

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中小企業・小規模事業者等が今後相次いで直面する制度変更等に対応するための設備投資を支援することを目的としたものづくり補助金の第16回公募がありました 

ものづくり補助金では、付加価値額の伸び率に対して目標が定められており、それを達成する事業計画を作成することが求められます。 

しかし、急激に変化する昨今のビジネス環境の中、その目標を達成できない場合も考えられます。今回は、付加価値額の要件・どのような場合返還義務が発生するのか、返還不要となるケースはあるのかを解説していきます。

 

ものづくり補助金ではいくら補助を受けられるのか?要件は? 

ものづくり補助金は正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。後述の枠にもよりますが、最大5,000万円の補助を受けることが可能です!さらに、融資とは異なり原則返済が不要です!ただし、次の要件をすべて満たす、3~5年の事業計画を策定する必要があります。 

1.事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること 

2.給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること 

3.事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること 

 

付加価値額とは?どのように計算するのか? 

要件の1つ目で定められている付加価値額は営業利益・人件費・減価償却費を足したものです。人件費は内訳が分かりにくいため、公募要領・よくあるご質問を参考に以下の通りまとめました。 

1.非常勤を全従業員従業員及び役員に支払う給料、賃金、賞与、報酬 

2.各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当 等の給与所得とされるもの) 

3.売上原価に含まれる労務費(福利厚生費、退職金等を含んだもの) 

4.一般管理費に含まれる役員給与、従業員給与、賞与及び賞与引当金繰入れ、福利厚生費、 退職金及び退職給与引当金繰入れ 

5.派遣労働者、短時間労働者の給与を外注費で処理した場合のその費用 

ただし、これらの算出ができない場合においては、平均給与に従業員数を掛けることによって算出します。 

 

個人事業主の場合は、青色申告決算書の以下の費目が該当します。(丸文字は所得税申告決算書の該当番号です。) 

1.売上高=売上(収入)金額() 

2.営業利益=差引金額+利子割引料(㉝+㉒)・・・㉝の差引金額に㉒を加算(戻入)します。 経常利益=差引金額()。 

3.人件費=福利厚生費+給料賃金(⑲+⑳) 

4.減価償却費=減価償却費() 

5.設備投資額=各年度の設備投資額 

6.給与支給総額=給料賃金+専従者給与+青色申告特別控除前の所得金額(⑳+㊳+㊸ 

7.個人事業主の付加価値額※=営業利益(㉝+㉒)+減価償却費⑱+福利厚生費⑲+給料賃金⑳ 

※個人事業主の付加価値額算定では、人件費の構成要素である㊳専従者給与(=ご家族 の方等のお給料)および㊸青色申告特別控除前の所得金額(=事業主個人の儲け)2項目を「人件費」に参入せずに計算します。 

 

伸び率とは?どのように計算するのか? 

付加価値の伸び率は、3~5年の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させることが求められています。 

以下に3つの例を挙げます。それぞれ、付加価値額の伸び率において、要件を満たすことになります。(申請内容入力において「未達」となりません) 

・Aの例では3年目で9%、4年目で12%、5年目で15%の付加価値上昇をしています。 

Bの例では終了年度の4年後に12%以上の付加価値上昇となります。 

・Cの例では基準年度の付加価値がマイナスですが、「伸び率」は絶対値で評価されるため、問題ありません。 

 

 

基準年度 

1年後 

2年後 

3年後 

4年後 

5年後 

A 

付加価値額 

10,000 

10,300 

10,600 

10,900 

11,200 

11,500 

伸び率 

 

3% 

6% 

9% 

12% 

15% 

B 

付加価値額 

10,000 

10,150 

10,300 

10,000 

11,300 

 

伸び率 

 

1.5% 

3% 

0% 

13% 

 

C 

付加価値額 

-10,000 

-5,000 

100 

300 

1,000 

5,000 

伸び率 

 

50% 

101% 

103% 

110% 

150% 

 

 

付加価値額伸び率の要件を達成できなかった場合はどうなるのか? 

これまで、付加価値額の伸び率について見てきました。では次に、伸び率の要件を達成できなかった場合にどうなるかを見ていきましょう。 

まず、前述の通り公募要領では基本要件として以下が定められています。 

<以下の要件を満たす3~5年の事業計画を策定すること> 

1.事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること 

2.給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること 

3.事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする 

 

ここで、上記の要件が未達だった場合にどうなるか、公募要領では以下のことが定められています。 

業計画終了時点において、給与支給総要件が未達の場合は、設備等の補助額に対応する分の返還を求める 

・ただし、給与支給総額の年率増加率平均>付加価値額の年率増加率平均/2の場合や、天災などの事業者の責任によらない理由がある場合は免除 

このほか、基本要件では再生事業者である場合には、各目標が達成できていない場合であっても返還は免除、とされています。 

・公募要領の申請要件を満たさない事業は補助対象外(不採択、採択決定の取消、交付決定の取消) 

 

以下、公募要領の引用です。 

○基本要件未達の場合の返還義務 

<給与支給総額の増加目標が未達の場合> 

・補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画終了時点において、給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標が達成できていない場合は、導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返還を求めます。 

・ただし、付加価値額が目標通りに伸びなかった場合に給与支給総額の目標達成を求めることは困難なことから、給与支給総額の年率増加率平均が「付加価値額の年率増加率平均/2」を越えている場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金一部返還を求めません。 

・また、給与支給総額を用いることが適切ではないと解される特別な事情がある場合には、給与支給総額増加率に代えて、一人当たり賃金の増加率を用いることを認めます。 

 

<事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合> 

・補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画期間中の毎年3月末時点において、事業場内最低賃金の増加目標が達成できていない場合は、補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求めます。 

・ただし、付加価値額増加率が年率平均1.5%に達しない場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金一部返還を求めません。 

 

このように、総付加価値増加額の目標が未達だった場合は免責事項の特記が無く、申請要件を満たさないものとして扱われ、採択がされなかったものとなる恐れがあります。 

給与支給総額の目標が未達だった場合とは異なるので、注意が必要です。 

 

まとめ 

今回は、ものづくり補助金の付加価値額の要件と、伸び率が未達となってしまった場合について解説しました。ものづくり補助金は様々な業種かつ幅広い目的で補助金が利用可能です。補助金を活用して生産性向上を目指してみてはいかがでしょうか。 

当社、アクセルパートナーズは、ものづくり補助金について100社以上の支援、採択された実績がございます。応募申請だけでなく、その先の交付申請、実績報告といった手続きのサポートまで、サービスメニューをご用意しております。 

 

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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