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【IT導入補助金】親会社を持つ子会社は利用できる?

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IT導入補助金は、従業員の数が5人以下の小規模事業者から、一定規模以下の中小企業まで、幅広い業種の事業者が対象となる補助金です。
ITツールを導入するには高額な費用がかかるだけでなく、従業員の教育なども必要になります。そのため、資金面や教育面などでハードルが高い中小企業や小規模事業者を支援するために設けられた制度です。補助金の趣旨から、形式的に対象企業に該当するように思えても、実際には対象外となるケースもあるので注意が必要です。
ここでは、親会社のある子会社のケースについてご紹介します。

 

IT導入補助金の対象企業

IT導入補助金の対象企業は、中小企業と小規模事業者ですが、業種や規模などの要件を満たすことが必要です。
中小企業の場合は業種ごとに、資本金額または出資金総額と常勤の従業員数の規模の要件が定められており、一定規模以下でないと対象になりません。
小規模事業者の場合は、従業員の常勤規模のみが要件になります。たとえば、小規模事業者で商業・サービス業を営む場合は、従業員が常勤で5人以下が要件です。サービス業のうち宿泊業・娯楽業と製造業その他の小規模事業者は、従業員が常勤で20人以下となります。 これに対して、中小企業の場合は、より規模が大きな事業者まで対象になります。たとえば、旅館業の場合、資本の額か出資の総額が5,000万円まで、従業員が常勤で200人までです。製造業、建設業、運輸業やソフトウェア業または情報処理サービス業の場合は、資本の額か出資の総額が3億円まで、従業員が常勤で300人までとなっています。詳しくは業種ごとの要件を確認する必要がありますが、こうした企業規模の要件を満たしていたとしても対象外になるケースがあります。それはどのような場合か、以下で確認していきましょう。

IT導入補助金の対象外となる主なケース

1つ目のケースは、発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者などです。
2つ目のケースは、発行済株式の総数または出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している場合です。ここでいう大企業は、IT導入補助金の対象となる中小企業者以外の事業者を指します。そのため、その事業者の業種ごとに資本金額や出資金総額、常勤の従業員数の規模を確認しなくてはなりません。
3つ目のケースとして、ここでいう大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業・小規模事業者も対象外です。
1つ目から3つ目のケースは、ここでいう大企業を親会社とする子会社は、IT導入補助金の申請ができないことを意味します。この点、親会社とは子会社の議決権の過半数を所有している1つ目と2つ目のケースをはじめ、3つ目のケースのように子会社の取締役会等に役員の過半数を配属させ、実質的な支配下に置いている場合も親会社と子会社の関係に該当するので注意が必要です。
4つ目のケースは、発行済株式の総数または出資価格の総額を1つ目のケースから3つ目のケースまでに該当する中小企業や小規模事業者等が所有している中小企業・小規模事業者等です。
5つ目のケースは、1つ目のケースから3つ目のケースに該当する中小企業や小規模事業者等の役員または職員を兼ねている者が役員総数のすべてを占めている中小企業・小規模事業者等もIT導入補助金の対象外になります。
4つ目と5つ目のケースは、いわゆる孫会社の位置づけになる中小企業や小規模事業者はIT導入補助金の対象外であることを意味しています。大企業による出資を受けている場合や役員を派遣されている中小企業や小規模事業者はIT導入補助金を申請することはできないので気を付けましょう。

対象外となる理由と対応

親会社がある子会社や孫会社は、IT導入補助金を利用するのではなく、親会社の資金力や人材育成ノウハウ、職場を整えるノウハウなどを通じて、自助努力でIT化やDX化を図ることが可能です。
IT導入補助金の趣旨は、資金力や従業員教育にハードルがある企業のIT導入をサポートし、業務効率化や生産性アップ、働き方改革や業績アップを支援しようとする制度です。子会社や孫会社は親会社の支援を受けて、こうした改革が図れるため、IT導入補助金の対象外になります。なお、大企業には中小企業投資育成株式会社法に規定する中小企業投資育成株式会社や投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合は含まれません。そのため、これらに該当するベンチャーキャピタルなどを通じて創業支援や未来投資を受けているような中小企業や小規模事業者の場合、IT導入補助金で対象外となる子会社にはあたらず、IT導入補助金の申請と有効活用が可能です。

親会社からスピンアウトした元子会社のIT導入補助金活用事例

以前は親会社に株式を保有されていた場合や役員の派遣を受けていた子会社でも、スピンアウトして資本関係を切り、完全な独立企業となれば、IT導入補助金の対象企業になります。
スピンアウトとは資本関係を継続することなく、親会社から別会社として切り離すことです。親会社からの出資など資本関係はなくなり、切り離された新会社は完全な独立企業となるので、子会社という位置づけではなくなります。このように、スピンアウトした後で、子会社時代から使用していた親会社ベースの基幹システムからも独立を図るために、IT導入補助金を利用してITシステムを刷新した企業があるのです。
金融業を営む株式会社キュリカは、大手人材派遣会社からスピンアウトしたベンチャー企業で、給与前払いサービスを提供しています。スピンアウトした当時の基幹システムは親会社ベースのものでした。将来的に上場を目指す目的があり、そのためにも、親会社から独立したITツールを導入したい希望があったのです。その当時使っていた親会社ベースのITツールでは、テレワークにも対応できませんでした。会計伝票処理や勤怠管理をはじめ、営業職員も経費精算処理などのためにわざわざ出社が必要となるなど、今時の働き方やその当時、問題になっていたコロナ禍での対応ができずにいたのです。
一方で、親会社からの資金援助が得られなくなり、まったくの別会社として独立したベンチャー企業なので、できるだけ低コストでの切り替えが必要でした。そこで、IT導入補助金を用い、上場基準を満たすITツールを導入することにしたのです。テレワークができる環境も整えられるクラウドツールであり、セキュリティが万全なこと、かつ上場基準を満たすことを条件にITツールを選定しました。これによって、テレワーク環境や柔軟な勤務体系が実現するとともに、IPO準備企業や上場企業の経理業務をクラウドで効率化できるようになっています。
その結果、会計伝票処理や勤怠管理などに多くの人材と時間を費やしてきた管理部門は人員を半減することができ、伝票起票や稟議申請もテレワークで自宅からでも申請できるようになりました。営業部門においては、出先でもスマートフォンから経費精算ができるようになったほか、自宅などからオンライン商談もできるようになり、コロナ禍で社員の安全を守りながら、成果を落とさない働き方が可能となりました。

まとめ

IT導入補助金は、一定規模までの中小企業や小規模事業者が対象となり、基本的には幅広い中小企業や小規模事業者が申請可能です。ただし、IT導入補助金の対象外となる大企業を親会社に持つ子会社や孫会社は対象外です。
業種ごとに定められた資本金額や出資金総額、常勤の従業員の数が対象内であっても、親会社を持つ中小企業や小規模事業者は対象にならないので気を付けましょう。

 

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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