ホーム > 補助金コラム一覧

【IT導入補助金】計画数値未達になった場合の改善方法の記入例を紹介

  •  
    公開日:

IT導入補助金では枠によって、最低賃金の上昇などの計画数値を定めることが求められ、補助事業を遂行することで目標を達成することが求められます。計画数値を達成できたかは効果報告の際に報告をしなくてはなりません。 通常枠の場合など3年間にわたって効果報告を行いますが、未達だった場合は次年度に向けて計画数値未達改善方法を記入する必要も生じます。
どのような内容を記入すべきなのか、記入例も含めて見ていきます。

 

事業計画で定めることが求められる計画数値とは

IT導入補助金にはいくつかの枠がありますが、通常枠(A・B類型)やデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)においては、申請時に提出する事業計画の中で労働生産性の向上や最低賃金などを引き上げる数値を設定することが求められます。
なぜ、そのような目標を設定することが求められるかというと、IT導入補助金を交付する目的は、単なるIT化やDX化の推進ではなく、ITツールを導入して活用することで業務の効率化や生産性の向上、労働環境の改善などを図ることを求めているからです。規定によれば、補助事業を実施することで、1年後の労働生産性の伸び率は3%以上、3年後の伸び率は9%以上となることが実現できるような事業計画を作成しなくてはなりません。
また、事業計画期間において給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させることや事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすることが求められます。
注意したい点は、事業計画終了時点において計画数値が未達の場合、補助金の全部の返還または一部返還を求められることがある点です。すでに交付され、消費しているかもしれない補助金の返還を求められると資金繰りに支障が生じる企業も出るおそれがあるため、未達にならないよう努力することが求められます。

効果報告について

IT導入補助金は、単にITツールを導入して終わりではなく、その後3年程度にわたり、事業計画にもとづいて運用を行い、効果が出せたかを報告することが求められます。中でも、労働生産性や賃上げの目標が課される枠については、1年目、2年目、3年目の3回にわたって効果報告が必要です。
効果報告は専用サイトのマイページ上で行いますが、入力された額が目標となる最低賃金額未満である場合、申請類型により返還を求められるケースが生じます。効果報告の画面では、賃上げ目標が必須要件の申請の場合、画面上に詳細確認用の説明欄が表示されます。計画数値が未達になった場合は、画面上で計画数値未達の要因を選択することが必要です。これは選択肢があるので、チェックボタンをチェックします。そのうえで、計画数値未達改善方法に、は計画数値を達成するために必要だと思われる対策、改善方法を文章にて入力する必要があります。

計画数値未達の要因を明確化して検証を

計画数値未達の要因は、売上起因、原価起因、労働時間起因の3項目に分けられており、それぞれの項目がさらに外的要因、内的要因の2つに分けられています。未達になった要因を分析したうえで、これらの選択肢から該当するもののチェックが必要です。該当項目がない場合には「その他」の項目に記入します。要因は一つ以上、複数選ぶことも可能です。
改善方法を記入するためには、要因を分析し、次年度に向けて何を改善すれば数値を達成できるか考えなくてはなりません。そのため、まずはどのような要因が選択肢にあるのかの確認が必要です。

売上起因

外的要因として、競合他社の増加・価格競争、顧客・案件の減少、不景気・大口顧客への売上減少、人員不足、市場ニーズに低下・市場規模の縮小、集客不足・認知度低迷、天候・災害、客単価の低下、労働時間の増加等、その他があります。内部要因としては、人材不足・主力社員の退職、ITツールを有効活用できず、営業活動不足、社員の教育に時間を費やしたため、売上が立つのが報告後の決算期になるため、代表者あるいは担当者の体調不良、集客不足、その他があります。

原価起因

外的要因及び内的要因として、人件費、材料費・外注費の高騰、人員不足、経費等による原価費用不足、利益率の低い製品の売れ行きが良い、他社との競合激化、その他があるため、自社が未達となった要因があればチェックをしましょう。

労働時間起因

外的要因として、人員不足、残業時間の増加、顧客ニーズの多様化、社員の教育に時間を費やしたため、その他があります。内的要因として、ITツールを有効活用できず、人員不足、社員の教育に時間を費やしたため、残業時間の増加、業務の効率化が図れなかったため、その他があります。

計画数値未達改善方法の記入例

計画数値未達改善方法を記入するうえでは、絵に描いた餅ではいけません。選択した要因または、そのほかに記載した要因をいかに解決するか、乗り越えていくのか具体的かつ実行可能な対策を検討して記入する必要があります。 要因は複数重なることも多いと思いますが、以下で主な要因ごとに計画数値未達改善方法の記入例を見ていきます。あくまでも記入例であり、実際に直面した場面では自社が実行できる改善策を具体的に表明する必要があります。

競合他社の増加・価格競争

競合他社の増加・価格競争が激しく売上が低迷し、賃上げ目標が未達となりました。ITツールの導入で業務の余裕ができてきたため、人材を新商品開発やサービスの向上のプロジェクトに投下し、他社との差別化を図ることで売上アップと利益率の改善を目指します。

顧客・案件の減少

オンライン営業へ切り替えを図っている途上で、不慣れなため新規顧客の獲得に苦戦しました。成功体験からノウハウが得られたので、それを共有し、顧客獲得数を増やしていきます。

集客不足・認知度低迷

ECサイトを起ち上げたものの認知度が高まらず、集客ができませんでした。ITツールの導入で余裕ができた人員をECサイトのプロジェクトに投入し、SEO対策の強化や集客につながるキャンペーンを実施します。

社員の教育に時間を費やしたため

ITリテラシーが低い年代や現場職員が多いため、予想以上に浸透させるまでに時間がかかってしまいました。ITツールを使いこなすために、若手の社員がサポートする体制を構築したことで生産性が少しずつ上昇しているため、次年度は数値目標を達成します。

材料費・外注費の高騰

外部要因により材料費や外注費が予想以上に高騰し、吸収できませんでした。コストカットに向け、仕入先の変更や仕入れ方法の変更、材料の変更を実施します。ITツールの利用が促進されてきたので、次年度は外注費を半分にカットする予定です。

人員不足

定年退職者と離職者が増加した一方で、新規での採用ができませんでした。ITツールの導入による労働環境の改善は図れているので、魅力的な会社であることをアピールできるよう、採用動画の作成と公式SNSでの情報発信を図り、求人を募集します。

ITツールを有効活用できず&残業時間の増加

ITツールの導入に伴い、毎月の決算時に補充していた臨時の派遣社員を削ったのですが、初めて使う会計ソフトに戸惑い、社員の残業時間が前年度より増加しました。改めて研修を実施し、IT導入支援事業者のサポート窓口について積極的に利用推進を図ったところ、残業時間が減少傾向にあるため、次年度はさらにスピードアップを目指します。

まとめ

計画数値未達になった場合、その要因をしっかり分析することが必要です。要因を改善するにはどうすれば良いのか、具体的な施策を講じ、簡潔に記入します。机上の空論ではなく、実行可能性、達成可能性がある改善方法を具体的に記載することが求められます。

 

IT導入補助金についても支援を行っておりますので、IT導入補助金申請をお考え、手続きでお悩みの事業者さまはお気軽にお問い合わせください!

補助金に関するお悩みは
アクセルパートナーズに
お任せください!

補助金の対象になるのか、事業計画から相談したい等
お客様のお悩みに沿ってご提案をさせていただきます。
まずはお気軽にご相談ください。

補助金に関する無料相談はこちら

この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

Xをフォローする