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【IT導入補助金】交付後に返還請求されないために重要な効果報告について

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少子高齢化に伴う人手不足が深刻化している一方で、情報化が加速してビジネスのスピードアップも求められる中、業界や業種、会社規模を問わずIT化やDX化への取り組みが重要になっています。もっとも、そのためには投資が必要となり資金をどのように工面するかが大きな課題です。 導入資金の負担軽減に役立つのがIT導入補助金です。時代のニーズもあり、多くの企業が補助を受けたいと考える中、補助制度を利用するには多くの要件を満たさなくてはなりません。 この記事では、IT導入補助金交付後に返還請求されないために重要な効果報告についてご紹介します。

 

効果報告とは

IT導入補助金制度では、申請が通ってもすぐに補助金の交付は受けられず、事業を実施していることの経過報告をして認められて初めて補助金が入金されます。
もっとも、補助金を得たからといって安心してはいけません。枠ごとに求められる期間に必要な回数の効果報告を実施しないと、交付されたIT導入補助金の全額または一部返還を求められることがあります。後から返還を求められれば、返還資金の調達が必要になって事業活動に影響を与えるおそれもあります。そのため、補助金を得られたからと安心せず、申請した事業計画を確実に実行し続けることと効果を出すこと、そしてあらかじめ定められている期間内に確実に効果報告を実施することが大切です。

通常枠(A・B類型)

補助事業終了後、生産性向上に係る数値目標に関する情報(売上、原価、従業員数及び就業時間等)と、給与支給総額、事業場内最低賃金などを報告しなくてはなりません。

セキュリティ対策推進枠

補助事業終了後、通常枠(A・B類型)と同様に生産性向上に係る数値目標に関する情報(売上、原価、従業員数及び就業時間等)、給与支給総額、事業場内最低賃金に加えて、セキュリティ対策状況を報告することが必要です。

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

インボイス対応状況及びITツールを継続的に活用していることをはじめ、公募要領に定めた加点項目及び減点措置のうち、賃上げによる加点を受けている場合には3年間の事業計画期間後に賃上げの実施状況について効果報告が義務付けられます。賃上げによる加点を受けている場合とは、交付申請時に賃金引上げを行うことと賃金引上げ計画を従業員へ表明しているか、従業員を雇用することになった場合に表明すると申請している企業です。

効果報告のやり方

効果報告は、補助事業者である企業が、申請マイページから必要な情報を入力して行います。その後、IT導入支援事業者がIT事業者ポータルで内容の確認を行います。
確認が済んだら、再び企業側で申請マイページ事務局へのオンライン提出が必要です。

効果報告時の注意点

企業が申請マイページ上で入力作業を完了させると、IT導入支援事業者に効果報告が引き継がれ、確認依頼が完了したといった案内が出ますが、効果報告はここで完了ではないので注意しましょう。
IT導入支援事業者が確認をした後、再び企業がオンライン提出を行うことが必要です。IT導入支援事業者の確認が完了するとメールで通知されます。忘れずにメールを確認したうえで、申請マイページから効果報告の提出を実施してください。
交付申請は最終的にIT導入支援事業者が行いますが、効果報告を最終的に行うのは企業側なので注意が必要です。また、効果報告対象期間と効果報告期間が年度ごとに定められています。事業実施効果報告の手引きで時期を確認し、必ず締め切りまでに間に合うように効果報告を行ってください。効果報告をしないと、交付を受けた補助金の全額返還を求められます。
なお、報告は24時間可能ですが、効果報告期限当日の締切時間は17時になりますので注意してください。
また、提出した効果報告の情報は、事務局へ提出して審査が完了すると修正を行うことができません。万が一、入力ミスや勘違いによる報告があっても、要件を満たさないと判断されると補助金の返還を求められることがあるので、入力も慎重に行いましょう。

通常枠(A・B類型)

1年度目、2年度目、3年度目の3回にわたって効果報告が必要となりますので、各年度の効果報告期間内に実施するのがおすすめです。効果報告対象期間は原則として、事務局があらかじめ定める1年間の数値の報告となります。
効果報告の申請画面では、入力した労働生産性の実績値が交付申請時に事業計画で定めた計画値に満たなかった場合、計画数値未達の要因が表示されます。ITツール導入によって実現した効果は計画数値達成、未達成どちらの場合でも表示がなされる仕様です。
賃上げ目標が必須要件となっている申請の場合、画面上に詳細確認用の説明欄が表示されます。賃上げ目標の目標値を達成している場合には、賃金台帳の添付は不要ですが、目標値を達成していない場合には賃金台帳の添付が必要となり、かつ、賃上げ目標が要件未達のため補助金の返還が求められます。なお、賃上げ目標が必須要件になっていない場合は要件判定はありません。

セキュリティ対策推進枠

1年度目、2年度目は効果報告は不要です。3年度目に1回だけ効果報告が求められます。入力した労働生産性の実績値が、交付申請時に交付申請時に事業計画で定めた計画値に満たなかった場合、計画数値未達の要因が表示される仕様です。

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

まず、継続活用・インボイス対応の場合は、1年度目に1回の報告が求められます。その際、ソフトウェア画面キャプチャの添付が必要です。画面キャプチャのアップロードにあたっては、以下の点に気を付けましょう。
求められる情報が1画面で確認できない場合は、複数枚の画面キャプチャを一つのデータにまとめることが必要です。レジなどで日付の表示ができない場合、携帯電話の日付表示など日付が表示できるものと同じ画面で撮影した写真を貼付してください。
ECサイトの場合はサイトの管理画面キャプチャが必要です。キャプチャの撮影の仕方だけでも、細かな指定がありますので、間違えないように注意してください。
賃上げ実施状況の効果報告は、賃上げによる加点を受けている場合のみ報告が必要です。1年度目と2年度目の効果報告は不要で、3年度目に1回だけ効果報告を行ってください。

補助金額の全部または一部返還に関する注意点

IT導入補助金の交付を受けて利用してしまっている場合でも、効果報告ができなかった場合や事業計画で定めた目標値が達成できない場合には、補助金額の全部または一部の返還が求められるため、注意が必要です。

全補助事業者について

事業実態がないと判断されることや実際にはITツールが導入されていないといった疑義が生じ、調査の結果、補助事業が遂行されていないことが発覚した場合、やむを得ないと事務局が判断した場合を除いて全額返還が求められます。

B類型の賃上げ目標が必須要件となる補助事業者について

事務局が交付規程 (通常枠)の要件を満たさないことを確認した場合や効果報告期間内に報告がない場合、及び報告が完了しなかった場合をはじめ、効果報告前及び賃上げ目標に定められた要件の達成状況判定前に本事業を辞退した場合には返還が求められます。

まとめ

IT導入補助金の申請が認められ、交付決定を受けても、それだけでは実際に資金を得ることはできません。また、事業計画にもとづいて事業を実施してIT導入補助金が交付されても、効果報告を行い、効果が出たことを証明できないとIT導入補助金の返還を求められることがあるので注意が必要です。

 

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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