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IT導入補助金 落ちた理由と改善方法

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大企業においては、業務の効率化やDXなどに向けてITツールの導入が急速に進んでいる一方で、中小企業や小規模事業者では資金不足などの理由から、いまだにIT化が進んでいないケースが多く見受けられます。このようなIT化に遅れた中小企業・小規模事業者に対して、ITツール導入の支援を目的として交付されるのがIT導入補助金です。
この補助金を受けるためには、事務局に補助金申請を行い審査に通過しなければなりませんが、過去のデータでは通常枠A類型の採択率が6割ほどであり、4割は審査に落ちてしまっているのが実情です。
そこで、ここではIT導入補助金の審査に落ちてしまう理由と、もし落ちてしまった時の改善点について詳しく解説していきます。

 

IT導入補助金とは

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者などがITツールを導入する際の費用の一部を国に補助してもらうことのできる制度です。
この補助金は経済産業省の所管であり、正式な名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業補助金」です。

 

・補助金の対象となる企業や組織

IT導入補助金は、資本金の額や常勤従業員の人数が中小企業基本法で定められている規定以下の企業について適用されます。

具体的には、資本金3億円以下または従業員300人以下の製造業や建設業、資本金1億円または従業員100人以下の卸売業、資本金5,000万円以下または従業員100人以下のサービス業などです。

また、一般的な企業だけでなく、企業組合や協同組合、医療法人、学校法人などもIT導入補助金の支給対象となっています。

 

・IT導入補助金の種類

IT導入補助金は「通常枠(A・B類型)」「デジタル化基盤導入枠」「セキュリティ対策推進枠」と大きく3つの枠に分類することができ、それぞれに補助金の額や補助率、対象となる事業目的などに違いがあります。

 

1.通常枠(A・B類型)

中小企業や小規模事業者が自社の事業内容に合致するITツールを導入する際の費用の一部を補助するものです。

ほかの枠と比べると幅広いITツールが対象となるので、どの枠を利用したらわからない場合などは通常枠に申し込むのが良いでしょう。

A類型は補助額が5万円以上150万円未満、B類型は補助額が150万円以上450万円未満であり、補助率の上限はともに1/2です。

 

2.デジタル化基盤導入枠

会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの導入費用の一部を補助するものです。

補助額50万円以下については補助率が3/4まで、50万円を超えて350万円以下の場合は補助率が2/3までとなっています。

また、デジタル化基盤導入枠ではソフトウェアだけでなくPCやタブレットなどIT化に必要となるハードウェアの購入費用も補助の対象となっています。

ハードウェアについては補助額が10万円以下、補助率は1/2以内です。

 

3.セキュリティ対策推進枠

サイバー攻撃などに対するセキュリティ対策のために必要なITツール導入費用の一部を補助するものです。
サービス利用料金の最大2年分を補助します。

 

IT導入補助金で落ちしてしまう理由

IT導入補助金は申請すれば必ずもらえるわけではありません。
補助金の総額についてはあらかじめ予算で決められているため、必要性が高いと考えられる中小企業や小規模事業者ほど採択されやすく、逆に申請内容などに矛盾する点などがあれば不採択となってしまう可能性もあります。

では、どのような企業や組織が審査に落ちてしまうのでしょうか。
その理由として代表的なものをいくつかご紹介します。

 

・申請した企業情報に不備がある

企業情報に不備がある場合には審査に落ちてしまいます。
具体的な内容を見ていきましょう。

 

1.企業情報の誤入力

補助金を申請する際には、住所や創立年月日、屋号、業種コード、資本金、従業員数など、企業に関するさまざまな情報を入力しなければなりません。

単純な作業ですが、誤入力するケースも多く見られるので注意が必要です。

一つでも間違った情報を入力してしまえば、審査落ちの原因となってしまう可能性が高くなります。

 

2.役員の氏名の間違い

IT導入補助金の申請では、役員についても全員の氏名を入力する必要があります。

漢字の間違いなどがないように細心の注意を払って入力しましょう。
また、役員の氏名は登記内容と一致していなければなりません。

登記し忘れていて現在の役員と登記簿条の役員が違っていると不採択の原因となります。

 

・申請の内容に問題がある

申請内容に問題がある場合にも審査に落ちてしまいます。

 

1.必要書類が揃っていない

IT導入補助金に申請する際、法人の場合は履歴事項全部証明書と納税証明書が必要となります。

また、個人事業主の場合は運転経歴証明書もしくは住民票、納税証明書もしくは確定申告書の控えが必要です。

さらに、履歴事項全部証明書や運転経歴証明書については発行されて3ヶ月以内のもの、納税証明書や確定申告書の控えについては直近分となっているので、期限が切れていないかについても必ずチェックしましょう。

 

2.申請書類の内容が薄い

IT導入補助金はITツールを導入することによって中小企業や小規模事業者の生産性を向上させることが目的となっています。

そのため、補助金をどのように使い、それによってどの程度の成長が見込めるかといったことを事業計画書に詳しく書き示すことが大切です。

逆にその点が明確になっていない場合は落ちてしまうリスクが高くなります。

 

・減点項目に該当している

IT導入補助金の申請ではやってはいけない減点項目というものがあり、もしもやってしまうと減点されて不採択の原因となってしまいます。

 

1.前年に補助金を利用して導入したツールと機能が重複している

補助金を利用して導入したITツールと機能が重複しているITツールの導入は、納品後1年以上経過しなければ認められません。

2年続けて機能の重複したITツールを、補助金を利用して導入しようとしても不採択となってしまいます。

 

2.複数の枠に同時に申請を行っている

IT導入補助金には、通常枠のほかにデジタル化基盤導入枠やセキュリティ対策推進枠があることはすでに説明した通りです。

これらの枠は、それぞれに目的や対象となるITツールが異なるため、複数の枠を同時に申請すると採択されなくなってしまいます。

 

・申請する時期が遅い

IT導入補助金の申請スケジュールは通常枠の場合、1次募集から8次募集まで細かく分かれています。

すでに説明したように補助金の総額には予算があるので、予算に余裕のある早い時期ほど採択されやすい傾向にあります。

逆に遅くなればなるほど予算に余裕がなくなってくるため、申請書の内容に特に問題がなくても採択されにくくなってしまうことがあるので、申請はなるべく早い時期に行うのがベターです。

 

落ちてしまった時の改善方法

IT導入補助金は、たとえ不採択になってしまっても翌年には再度申請することができます。
ただし、同じ内容で申請を行っても再び不採択となるだけなので、申請内容の改善は必須です。
改善のポイントとしては次のようなものがあります。

 

・新生児の不備の確認

情報の入力時に間違いがなかったか、提出書類はすべて揃っていたかについてしっかりと確認を行いましょう。
企業名や創立年月日、役員の氏名は履歴事項全部証明書や登記簿の内容と一致していなければなりません。

 

・登録要件の確認

そもそも、IT導入補助金の申請要件を満たしていないというミスもありがちです。
資本金や課税所得の額、従業員の数、業種などが要件を満たしているか確認しましょう。

 

・加点項目を増やす

IT導入補助金には、審査で有利となる加点項目というものがあります。
給与アップ率の高い企業や最低金銀の高い企業は審査で加点されて採択されやすくなるのです。

そのほかにも、「地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画」の承認を受けている場合や「地域未来牽引企業」に選定されている、導入するITツールにクラウド製品を選択しているといったことで加点されます。

 

まとめ

現在の企業活動において、IT化は避けて通れないものですが、中小企業や小規模事業者にとっては導入コストが大きな問題となることも事実です。

IT導入補助金は、ITツールの導入コストの一部を補助してくれる非常に便利な制度であり、ぜひとも利用したいと考えている経営者も多いでしょう。

ただし、申請すれば100%利用できるものではなく、審査で落ちてしまうこともあります。

もし落ちてしまった場合は、その原因がどこにあったのかを確認し、次の申請では採択されるようにここで紹介した改善方法を参考にしてみてください。

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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