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IT導入補助金は医療法人でも利用できる?

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医療業界では、徐々にIT化が進みつつありますが、導入に多額の費用がかかることもあって、現状は資金的に余裕のある大病院が中心であることは否めません。
一方、比較的規模の小さな医療法人や個人で運営されているクリニックではなかなか資金を捻出することが難しいですが、IT導入補助金を上手に活用することによって負担を大きく軽減することは可能です。
そこで、ここでは医療法人がIT導入補助金を利用するための条件や手続き、IT化することによるメリットなどをご紹介します。

 

IT導入補助金とは

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が業務の効率化や生産性の向上を目的としてITツールを導入する際に、その費用の一部を国が補助してくれる制度です。

 

・医療法人もIT導入補助金の対象

IT導入補助金の対象となるのは、一般的に中小企業と呼ばれる事業者です。

中小企業は、資本金の額と従業員(常勤)の数によって定義され、業種によってその金額や人数には違いがあります。

たとえば、建設業・製造業・運輸業であれば資本金3億円以下または従業員300人以下の企業が中小企業であり、サービス業では資本金5,000万円または従業員100人以下が中小企業としてみなされます。

IT導入補助金は、一般企業だけでなく学校法人や社会福祉法人、団体、商工会なども補助の対象です。

もちろん、医療法人もその中に含まれていて、資本金の額に関係なく従業員が300人以下であればIT導入補助金の対象です。

 

・IT導入補助金の種類

IT導入補助金は、「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入類型」と大きく3つの類型に分かれていて、それぞれに補助金の額や補助率、対象となる経費などが異なります。

 

1.通常枠

会計や顧客対応、決済、人事など幅広い業務プロセスに関するITツールを導入するために活用できる補助金です。
具体的な対象経費としては、ソフトウェア購入費やクラウド利用料などがあります。

通常枠には「A類型」「B類型」があり、前者は補助金の額が5万円~150万円未満、後者は150万円~450万円です。
また、補助率については両者とも2分の1までとなっています。

2.セキュリティ対策推進枠

サイバー攻撃や不正アクセス、マルウェアへの感染など、セキュリティ上の問題を回避するために必要となる対策費用に活用できる補助金です。

サービス利用料金の2年分を最大で2分の1まで補助してくれます。
なお、補助の対象となるサービスは独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているものに限定されます。

 

3.デジタル化基盤導入類型

IT化の基盤となる会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトに限り、その導入経費の一部を補助するものです。
50万円以下については補助率が4分の3、50万円を超えて350万円までは補助率が3分の2となっています。

また、PC・タブレットなどのハードウェアにかかる購入費用も補助対象となっているのが大きな特徴です。
ハードウェアの補助上限額は10万円で補助率は2分の1です。

 

医療機関におけるIT導入補助金の活用

医療法人がIT導入補助金を活用して導入できるITツールは事務局によって登録されていて、それ以外のツールについては補助金の対象とならないので注意が必要です。

ここでは、登録されているツールの中で特におすすめのツールをいくつかご紹介します。

 

・電子カルテ

電子カルテは、従来のカルテを電子的なシステムに置き換えるためのツールです。

カルテには患者さんの氏名や年齢といった属性情報や病名・症状、行った処置などを記載しますが、カルテを電子化することによってさまざまな情報を電子化して素早く共有化することで、間違いや事故を未然に防ぐことにつながります。

また、どこにいても見たい情報を確認できる、紙カルテのように保存場所に困らないといった利点もあります。

 

・レセコン

レセコンは「レセプトコンピュータ」の略で、医療施設が健康保険組合に対して診療報酬を請求するために必要となるレセプトを作成するためのシステムのことです。

医療機関は、レセコンを導入することで診療内容によって決まっている保険点数を自動で計算して診療報酬の金額を算出してくれます。

上記の電子カルテと連動したシステムが導入されていれば、電子カルテの入力した内容がそのまま反映されるので業務効率を大きくアップさせることができるでしょう。

 

・予約管理ツール

病院の問題点として待ち時間の長さがありますが、その問題を解決する方法として予約管理ツールがあります。

予約管理ツールを導入することによって、患者さんはPCやアプリなどを使ってネット上でどこにいても診察の予約ができるようになります。

また、病院側から混雑している時間や空いている時間を知らせることによって込み具合を平均化させることも可能です。

 

医療法人によるIT導入補助金申請の流れ

医療法人が電子カルテなどのITツールを導入するために、IT導入補助金を申請する際の鉄付きの流れは次の通りです。

1.事務局の定めるITツールの中から利用したいITツールとIT導入支援事業者を選定するなど事前の準備をしましょう。

2.行政サービスを利用するために必要なGBizIDプライムアカウントを取得するためにIDとパスワードを設定します。
プライムアカウントの取得には2~3週間要するので、早めの手続きが重要です。

3.「SECURITY ACTION」によって自社の企業活動において情報セキュリティ対策に積極的に取り組むことを宣言します。
令和3年度から「SECURITY ACTION」は補助金を受け取るために必要な要件となっているので、必ず宣言を行いましょう。

4.「みらデジ経営チェック」は自社のデジタル化がどのくらい進んでいるのかの度合いを知ることができる中小企業庁のサイトです。
このサイトでチェックを行うことで補助金の申請が可能になります。

5.補助金の申請手続きは、IT支援事業者と一緒に進めていくのが一般的です。
GBizIDプライムにログインしたら申請マイページから必要事項を入力し、 IT導入支援事業者に導入したいツールの情報や事業計画値を入力してもらいましょう。

6.申請手続きを行って審査の結果採択されたら、IT支援事業者と契約を結び、希望するITツールの発注と支払いを行います。

7.商品が納入されるので、領収書などを提出して納品や支払いが行われたことを申請マイページから報告します。

8.補助金が交付されてから3年間は、ITツールの導入によりどのくらい業務の効率がアップしたか、実績を報告しなければなりません。
これも申請マイページから行うことが可能です。

 

IT導入補助金は必ずもらえるものではない

IT導入補助金は、申請しても必ず採択されるものはありません。
補助金にはあらかじめ予算が決められているので、その予算の中でより要件にあった申請者に対して優先して補助されます。

審査で落ちないためには、以下の要件を満たすように心がけることが大切です。

 

・入力する情報や必要書類に間違いがないよう確認する

IT導入補助金の申請に際しては、医療法人に関してのさまざまな情報を入力しなければなりません。

入力した内容に誤りがあると採択されにくくなってしまうので、申請前に必ずチェックしましょう。

また、申請に必要な書類には期限が定められているものもあるので、期限を守って提出しましょう。

 

・目的に合ったITツールを選択し、その効果についてもアピールする

ITツールを導入する目的として、インボイス制度への対応を挙げているにもかかわらず、それとは直接関係のない機能を持ったツールを申請すると減点されてしまいます。

目的に合ったツールを申請することが大切です。
また、「ツールを導入することで業務効率を○%アップできる」と具体的な数字で説明することで、説得力がアップして採択されやすくなります。

 

・加点を得る

IT導入補助金の審査では、ある要件を満たすことで加点を得ることができます。

たとえば、最低賃金をアップしたり、導入するツールにクラウド製品を選んだり、インボイス制度に対応したサービスや商品を選ぶことで加点を得られるので、不安な場合は積極的に加点を取るようにしましょう。

 

まとめ

電子カルテやレセコンなど、医療法人の業務を電子化することは、大幅な業務の効率化や人件費の削減、他の部署との連携の強化などさまざまなメリットにつながります。

また、コロナなどの感染リスクを軽減する効果も期待できるなど、非常に有益なものです。

IT化を実現するためには多額に費用がかかりますが、IT導入補助金を上手に活用してITツールを導入して業務を効率化させることで、より安定した経営を実現してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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