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IT導入補助金で不正受給とみなされたらどうなる?

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補助金は返済義務がないお金で、企業にとってはとても助けになる制度です。
もっとも、それをいいことに、どうにか国や自治体を騙して補助金を受給しようとする事件が後を絶ちません。
IT導入補助金も例外ではなく、後々不正受給とみなされて立件されるケースがありました。
もし不正受給とみなされたら企業はどんなペナルティを課されるのでしょうか。

 

IT導入補助金の不正受給とみなされるパターン

IT導入補助金は、その名の通りITに関する設備投資などを支援するために起ち上げられた補助金です。

企業としては補助金を申請する際には、どういった項目に投資するのかを明示しなくてはいけません。

たとえば、クラウドサービスの利用を始めるとすれば、どのサービスに加入し、どれだけの利用料を支払うのか、といったことを伝えなければならないのです。

もっとも、経済産業省の職員がこの会社がIT導入補助金を交付されて後日このサービスに加入した、とすべての申請企業を追跡確認できるわけではありません。

それをいいことに、クラウドサービスへの加入をせず補助金だけをもらうといった犯行は十分に考えられるでしょう。

実際、IT導入補助金の事例ではありませんが、デジタル化に関する補助金でこのような不正受給を行った例は過去に存在します。

その事件では、IT導入をサポートしてくれる専門家への相談料の補助を申請していた企業が、実はまったく相談していなかったという事実が明らかになりました。

このように、補助金を申請したにもかかわらず、まったくIT化を進めていないと不正受給とみなされます。

 

不正の片棒を担がされるケースも?

また、最近ではこうした不正受給を組織ぐるみで行う事件も増えてきました。

複数の経営者が結託したうえで、実態のない事業に関する補助金を不正受給しようとする事件がさまざまな補助金事業で発生しているのです。

特にIT導入補助金に関しては、逮捕者が出るほど悪質な事件も起きています。

たとえば、取引先の企業からこういった方法を使えば補助金をかすめとることができるなどといった甘い誘いが来たら、断固として乗らないようにしたいところです。

とはいえ、中には知らず知らずのうちに不正受給の手口に利用されていた事例も存在します。

補助金申請は煩雑な手続きを必要とするため、経営者が片手間で申請書をまとめたり必要な添付書類を集めたりするのは大変です。

そのため、そういった申請を代行すると称して近づいてくる悪徳業者は後を絶ちません。

彼らの口車に乗せられた結果、いつのまにか不正の片棒を担がされ、ニュースで自分が受け取った補助金が不正受給だったと知るケースもあるのです。

こういった失策を防ぐためにも、補助金の申請は自社で行うか、信頼できる行政書士などに依頼するようにしましょう。

 

補助金の不正受給のペナルティは?

ここまで、不正受給とみなされるケースをいくつかご紹介してきました。

では、経産省から不正受給とみなされたらどのようなペナルティが待っているのでしょうか。

まず、補助金の返還が命じられることは言うまでもありません。
正しくない手続きを経て得たお金なのですから、それを返す義務があるのは当然です。

それだけでなく、法律には不正受給があった場合は、加算金も支払わなければいけないと明記されています。

IT導入補助金の場合は、補助金額の年利10.95%を加算金として課されます。
また、不正を犯した企業は以後5年間IT導入補助金はもちろんのこと、いかなる補助金も受け取ることができません。

さらに、経済産業省では不正受給が明らかになるたびにホームページで該当企業の名前や住所を公表するようにしています。

罰金を取られるだけでもダメージは大きいですが、企業名まで公表されれば今後の取引などに大きな影響が出るのは避けられないでしょう。

最後に、よほど悪質なケースでは詐欺罪として立件される可能性もあります。
その場合は、裁判の結果10年以下の懲役や罰金が科せられます。

 

不正受給を避けるためにやるべきこと、やってはいけないこと

ここまでの記述を見ても、うちは不正受給なんてやるつもりはないから大丈夫、と考えている方もいるかもしれません。

しかし、補助金申請前後の行動によっては不正受給をしているのでは、と疑われる場合もあります。

たとえば、補助金を申請する際に記入すべき書類にミスがあった結果、補助金の取り消しになったケースは少なくありません。
もちろん、ミスは誰にでもあることですから、すぐさま罰則が適用される可能性は少ないでしょう。

経済産業省の職員からも大目に見てもらえるかもしれません。
とはいえ、その場合でも補助金の返金は避けられません。

せっかく申請が通ったのに返金となったらショックは大きいですから、くれぐれも書類の確認は怠らないようにしましょう。
また、ITツールを導入する際は必ず申請書に記載したツールを導入しなくてはいけません。

補助金の申請をした頃はこの商品が良いように思えたけど、審査を待っている間にこっちの商品のほうが良い気がしてきたといったことが起こり得ます。

とはいえ、だからといって購入する商品を変えてしまったら、それは虚偽の記載をしたとみなされてしまうでしょう。

さらに、IT導入補助金の場合は、補助金が交付された後どのようなIT導入事業を行っているかといったことを事後報告しなくてはいけません。

申請した通りのITツールを導入できたか、このITツールを導入したことでどんな結果がもたらされているか、といった事業実績報告を逐一伝える必要があるのです。

これを怠ると、場合によっては経済産業省から調査官がやってくる可能性があるので、くれぐれも忘れないようにしましょう。

 

補助金を辞退する場合は不正受給とみなされない?自主返還すれば罪は軽くなる?

先ほど、実態のない事業に関する補助金申請を行うと、不正受給とみなされるという話をしました。

とはいえ、場合によっては導入しようと思っていたITツールを導入できなくなったということも起こり得るでしょう。

たとえば、IT導入補助金を使ってタブレットを購入しようと検討していたとします。

しかしながら、審査を待っている間にメーカーの都合でタブレットが販売停止になってしまうということは十分に起こり得るでしょう。

この場合は、経済産業省に辞退届を提出しなくてはいけません。
こういった理由でタブレットが購入できなくなったので、補助金を返還しますといった旨の書類を書かなくてはいけないのです。

もちろん、やむを得ない事情がありますから、加算金などが課される可能性はありません。
また、業者に騙された結果補助金を不正受給していたとわかったというケースはどう対応すればいいでしょうか。

その場合は、経済産業省に名乗り出たうえで、自主返還を行えば加算金は課されません。

IT導入補助金の例ではありませんが、2020年度に実施された持続化給付金では多数の不正受給が行われていることが明らかになりました。

経済産業省では、調査の結果、不正受給が明らかになったケースでは加算金を取る一方で、自主返還が行われた場合は加算金は取らないと公表しています。

IT導入補助金もこれと同様の対応がなされると見ていいでしょう。

 

まとめ

不正受給はあくまでもニュースの中の出来事であって、自分には関係ないと考えている方は多くいるかもしれません。

しかしながら、そんなつもりがなかったのに不正受給をしてしまっていたという可能性は十分に考えられます。

補助金を申請する場合は、こういったことが起こらないように慎重に立ち振る舞うようにしましょう。

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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