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【副業解禁】副業や兼業を解禁するメリット・デメリット・企業が取り組むべきことを紹介!

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副業・兼業の取り扱いについて、平成29年より大きく変化が生じています。

「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)において、企業側が従業員の副業や兼業を認めて、柔軟な働き方がしやすい環境設備を整えるといった取り組みが推奨されました。

その結果、大手企業や地域銀行においても副業を解禁するケースが多くみられ、平日は会社員、土日は別の勤務先でアルバイトまたは副業フリーランスとして活躍しているという方も増えてきました。

多くの企業で副業解禁されているとはいえ、自社において副業を解禁すべきか、副業にどのように対応すべきかについては頭を悩ませることでしょう。

そこでこの記事では、副業について会社はどう対応すべきかについて解説をしています。

ぜひ参考にしてみてください。

1.副業や兼業のメリット・デメリット

本章では副業や兼業を解禁した場合、企業側にどのようなメリット、デメリットがあるかについて解説をします。

また従業員側のメリット、デメリットについても併せて解説しますので、なぜ従業員が副業や兼業を検討するかについても理解して、副業を解禁するかどうかの判断材料としていただけると幸いです。

【企業側】副業や兼業を解禁するメリット

企業側にとって副業や兼業を解禁すると、メリットよりもデメリットのほうが多くあるように感じてしまうかもしれません。しかし、副業を解禁するメリットは次のようにいくつもあります。

 

メリット①:従業員が企業外で得た知識やスキルを自社で活用することができる

従業員は副業を通じて、新たな知識やスキルを習得しています。従業員のスキルアップ向上のために企業側が時間やお金をかける必要はありません。従業員が企業外で得た知識やスキルを企業内で活用してもらうことにより、新たな企業の発展につながることがあります。

 

メリット②:優秀な人材の確保や離職の防止につながる

副業や兼業を考える人は、自身のスキルアップや自己実現のために努力を惜しまない優秀な人材であることが多いです。副業禁止としてしまうことにより、優秀な人材が「副業を解禁している企業」へと転職してしまう可能性があります。

また、自社を本業ではなく副業とする人を受け入れることにより、優秀な人材を新たに確保することが可能です。

 

メリット③:従業員満足度の向上につながる

従業員が副業で得たスキルや人脈などが、企業の売上や利益の増加に寄与するかもしれません。他の従業員へも給与や福利厚生として還元でき、企業内の従業員満足度の向上につながる可能性があります。

【企業側】副業や兼業を解禁するデメリット

副業や兼業を解禁することはもちろんデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を理解することが大切です。主なデメリットとしては、次の3つが考えられます。

 

デメリット①:情報漏洩のリスクがある

企業の機密情報や有益な情報が副業先に漏れてしまう可能性があります。故意的ではなくても、うっかり口がすべってしまったという危険性もゼロではありません。情報漏洩のリスクに備えて、秘密保持義務や競業避止義務について従業員に理解してもらいましょう。

 

デメリット②:従業員の労働時間管理に気を付ける必要がある

従業員が副業先と雇用契約を結んでいる場合、本業と副業の労働時間は通算されます。1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて就業させる場合には、時間外労働として割増賃金を支払う必要があるのです。割増賃金を支払う義務があるのは、後から雇用契約を結んだ企業です。副業として自社で働く人を雇う場合には気を付けましょう。

 

デメリット③:労災へと発展する事態になった場合、本業と副業のどちらに原因があるかについての判断が難しい

副業をしている従業員は労働時間が増えたことにより、心身の健康状態を崩し、労災へと発展する事態になるおそれがあります。しかし、心身の健康状態を崩す原因が本業と副業どちらにあるかについての判断が難しいケースも少なくありません。

【従業員側】副業や兼業をするメリット

従業員はなぜ本業の収入があるにも関わらず、副業や兼業を検討するのでしょうか。従業員側には、主に次の3つのメリットが挙げられます。

 

メリット①:本業では得られないスキルや経験が取得可能

本業とは別の業界において副業・兼業をした場合、本業では得られないスキルや経験を得ることができます。スキルアップにつながるだけでなく、従業員の人生をより豊かにする手助けとなることでしょう。

 

メリット②:本業で得た所得を有効活用して、自身の夢や自己実現を追求できる

挑戦や冒険をするときには、不安はつきものです。夢や自己実現を追求したいと考えている従業員にとって、本業で得られる所得があるということはかなりの安心感につながります。

また、本業の所得があれば、副業で使うパソコンなどへの自己投資資金に充てることも可能です。

 

メリット③:所得が増加する

従業員は本業の所得に加え、副業の所得を得ることができます。令和3(2021)年度の「国民生活に関する世論調査」によると、現在の所得や収入に「不満だ」「やや不満だ」と答えた人は合わせて59.7%を占めています。現在の所得や収入に不満を感じる人が副業に取り組むことで、お金にまつわる不安がなくなるかもしれません。

【従業員側】副業・兼業をするデメリット

つづいて、副業や兼業をすることのデメリットをみていきましょう。主なデメリットは次の3つが考えられます。

 

デメリット①:労働時間が長くなるため、心身の健康状態の管理に気を付けなければいけない

副業をすると、本業の就業時間以外の労働時間が増えます。労働時間が長くなることにより、自身の趣味やリフレッシュに充てる時間が少なくなります。働きすぎは脳疾患や心疾患を引き起こす要因となりますので、健康管理には一層気を付けなければいけません。

 

デメリット②:職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務などを意識しなければいけない

本業、副業双方の関係者に迷惑のかからないよう、労働者の義務は守らなければいけません。例えば、副業が忙しくて睡眠時間が確保できないために業務中に居眠りをしてしまった場合、本業の職務専念義務を違反したことになります。知らなかったでは済まないこともありますので、労働者の義務については勉強しておく必要がありそうです。

 

デメリット③:税金や社会保険などの知識が必要

本業のみの収入であった場合には、年末調整や社会保険に関する手続きはすべて会社が行ってくれます。しかし、本業以外の収入を得た場合には自身で確定申告を行う必要がある、複数の会社で健康保険・厚生年金保険の加入条件を満たす場合には自身でメインとなる会社を選択する手続きを行います。

税金や社会保険などの知識も勉強しておく必要が生じます。

2.【副業解禁するとき】企業が取り組むべきチェックリスト

厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、「副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。」としています。引用元:副業・兼業の促進に関するガイドラインp.6,ll.4-7

副業や兼業は、原則解禁する方向で検討することが適当でしょう。

それでは、副業や兼業を解禁するときに、企業側はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。本章では、副業を解禁する企業が、「副業解禁」とする前に取り組むべきことをチェックリスト化しました。

 

〇就業規則等の整備

従業員に副業を解禁することが企業の不利益とならないように、就業規則等に決まりを明記しておきましょう。厚生労働省がモデル就業規則として、次の例示を発表しています。モデル就業規則を参考にして、自社の就業規則を見直しましょう。

 

(副業・兼業)

第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。

① 労務提供上の支障がある場合

② 企業秘密が漏洩する場合

③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

④ 競業により、企業の利益を害する場合

 

〇「副業・兼業に関する届出書」の様式を作成する

副業・兼業に関する情報の記載された届出書を従業員に提出してもらうことが望ましいです。届出書には次の情報を盛り込むことをおすすめします。

・副業、兼業の形態(雇用or非雇用)

・副業先の名称、所在地

・副業先の事業内容や従事する事業内容

・労働契約締結日など

・所定労働時間など

【参考】副業・兼業に関する届出様式例

 

〇「副業・兼業に関する合意書」の様式を作成する

「副業・兼業に関する届出書」に記載された内容について問題がない場合には、合意書を作成して従業員、企業側双方が保管しておくことをおすすめします。従業員が安心して副業や兼業に取り組むことができるだけでなく、企業側も自社が不利益を被らないか心配する必要がなくなります。

【参考】副業・兼業に関する合意書様式例

 

〇「管理モデル」を導入する

副業・兼業の日数が多い場合や、自社と副業・兼業先の双方で所定外労働がある場合などにおいて、労使双方の事務処理の負担が大きくなることが予想されます。双方の事務処理負担を軽減したうえで、労働基準法に定める最低労働条件を遵守するために「管理モデル」を導入します。管理モデルは次の時間内の範囲内で、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定します。

「自社での従業員の法定外労働時間」+「副業・兼業先での所定労働時間および所定外労働時間」≦単月100時間未満、複数月平均80時間以内

【参考】管理モデル導入(通知)様式例

 

3.【副業禁止とするとき】企業が取り組むべきチェックリスト

 

厚生労働省が副業・兼業の解禁を推奨する一方で、副業・兼業が自社での業務に

支障をもたらすものである場合には、副業・兼業を禁止することも可能です。

禁止や制限をしたい場合に企業が取り組むべきことをチェックリスト化しました。

 

□副業・兼業を制限や禁止する理由を明確にする

労働時間以外の時間をどのように利用するかについては基本的には労働者の自由とされているため、明確な理由がなくては、企業側が一方的に副業を禁止することはできません。理由を明確にしなければ、従業員からの不満や離職につながるおそれもあります。

例外的に禁止、制限できる理由としては、次のものが挙げられます。

① 労務提供上の支障がある場合

② 業務上の秘密が漏洩する場合

③ 競業により自社の利益が害される場合

④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

 

□就業規則を整備する

上記で明確にした理由を就業規則に明記して、従業員に周知しましょう。就業規則の例は、モデル就業規則を参考にしてください。「いかなる理由においても副業・兼業を禁止する」とはできない点にご留意ください。

(副業・兼業)

第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。

① 労務提供上の支障がある場合

② 企業秘密が漏洩する場合

③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

④ 競業により、企業の利益を害する場合

 

4.まとめ

本記事では、副業において会社がどのように対応すべきかについて解説しました。自社において、副業を解禁すべきか迷ったときには紹介したメリット、デメリッ トを検討材料にしてみてください。副業解禁とする場合、副業禁止とする場合どちらにおいても、就業規則を整備しておく必要があります。ぜひこの記事を参考にして、不利益を被らないように対応していただけると幸いです。

 

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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