フリーランスなど個人事業主や中小企業はつくってる?開業時の事業計画作成のポイント
- 2020年03月18日
今井志津
わずか3カ月前に、今の世界経済を想定していた人が、どのくらいいたことでしょうか。
2008年のリーマンショック級の危機といわれるほど、市場もヒトもあらゆるところでパニックがおこっています。
ふと冷静になってまわりを見渡してみると、マスク騒動やトイレットペーパー騒動などにも踊らされず、淡々と生活している人をみかけます。
聞いてみると、地震対策として、常日ごろから対策をしているので問題ないとか。
事業をおこなうときも、おなじことが言えるかもしれませんね。あらかじめ計画をしておくことで、リスクを最小限にできるかも。
事業をはじめるときに、事業計画書をつくることが大切です。
事業計画書はどのようにつくればよいのでしょうか。そのつくり方をご紹介します。
目次
1.事業計画書ってなに?
事業計画書とは、自分の夢(創業)を実現するための、具体的な行動をしめす計画書のことです。
頭の中に描いているイメージを具体的にまとめることができ、より実現しやすくなります。
具体的には、「ヒト・モノ・カネ」という視点でイメージを固めます。
(出典)中小企業庁
1)ヒト
・パートナーまたは片腕はいますか?
・社員は何人必要ですか?
・パート、派遣社員の活用は可能ですか?
2)カネ
・最初にかかる設備資金はどのくらい必要ですか?
・毎月かかる運転資金はどのくらい必要ですか?
・自己資金はどのくらいありますか?
・親、兄弟からの援助はありますか?
・金融機関からの借入できる金額はいくらですか?
3)モノ
・店舗(事務所、工場など)は必要ですか?
・店舗の改装はどのようにしますか?
・どのくらいの設備が必要ですか?
このように考えていくと、やるべきことがみえてきますね。
2.(a)事業構想を考える
【記入例:パン屋の創業をめざす夢野さくらさんの場合】
(出典)中小企業庁
このように、①~⑤について考えます。
①創業の動機
どんな夢で、なぜビジネスをしたいと思ったのか
②事業の概要
誰に、何を、どのように売る事業か
③市場の環境
その事業の市場規模、事業を取りまく環境、同業他社の状況など
④事業の将来目標
将来、事業をどのように成長・発展させていきたいか
⑤事業の課題
次のチェックリストでYESにならない項目
≪チェックリスト≫
(出典)中小企業庁
3.(b)具体的な事業内容を考える
【記入例:夢野さくらさんの場合】
(出典)中小企業庁
このほかにも、自分のお店の名前や商品名など、ネーミング戦略も大切です。
実際に書いてみると、
・商品としてどのような社会的価値を提供したいのか
・ターゲットとする顧客のニーズにマッチしているか
など、具体的な内容がみえてきます。
4.(c)創業時の資金計画表を考える
【記入例:夢野さくらさんの場合】
(出典)中小企業庁
1)必要な資金(表の左側)
①駅前のオフィス街に、15坪(家賃20万/月)の店舗を借りて、保証金が100万円。明るく清潔感のあるお店への改装費用が300万円。
②パンの製造機械は、中古で500万円。その他の備品で200万円。
③当面の運転資金として、300万円。
【合計】1,400万円かかります。
2)1,400万円の調達方法(表の右側)
④自己資金は600万円。
⑤父親からの融資で200万円。
⑥残りは金融機関からの融資で、600万円。
【合計】1,400万円の資金調達が必要です。
5.(d)損益計画表を考える
「これから始める事業は、どれくらいの利益がでるのか」について、開業後の予測をします。
【記入例:夢野さくらさんの場合】
(出典)中小企業庁
1)売上高と売上原価
■当初の売上は、客単価@500円で1日あたり200人を想定。営業日数が25日で、月間250万円(①)。
■資料によるとパン屋の原価率は50%らしいので、売上原価は、売上高250万円×50%で月間125万円(②)。
2)経費
■人件費は弟(アキラ)が20万円、パートスタッフ2名で35万円の合計55万円。
■家賃が20万円、機械などの減価償却費が6万円、借入金の支払利息が1万円、水道光熱費などの諸経費が18万円。
【合計】月額100万円(④)の経費がかかります。
3)利益予測
1)2)より、月間の利益は、
売上高250万円(①)-売上原価125万(②)-経費合計100万円(④)、25万円(⑤)になります。
4)借入金の返済可能額
■借入金返済可能額の算出方法は、利益25万円(⑤)+減価償却費(実際には現金で出ていかない費用)6万円(⑥)で、31万円(⑦)。
■借入金の返済は、借入金600万円を5年(60カ月)で返済するので、月額10万円(⑧)。
■手元に残るお金は、返済可能額31万円(⑦)-借入金返済額10万円(⑧)で、21万円。
この21万円が、個人事業主である夢野さくらさんの給与になると考えます。
6.(e)採算のとれる売上高を考える
夢野さくらさんは、月額21万円の給与では少ないと考えています。
3年後に、38万円の利益(34万円の給与)が欲しいと計画しています。
1)目標利益を決める
利益が38万円
2)必要な経費を見積もる
3年後、40%経費がアップすると見積もり、経費合計137万円
3)予想粗利益率を見積もる
※粗利益率=売上総利益率
<当初>の売上高総利益率は、
4)必要売上高の算出をする
■(見積り経費合計137万円+目標利益38万円)÷売上総利益率50%
3年後の必要売上高は、350万円となる。
7.まとめ
具体例をあげて、事業計画書の作成についてみてきました。
イメージが持てたでしょうか。
最初につくった事業計画が永遠に続くわけではなく、特にターゲット(だれに売るか)などについては、環境の変化によって変えていきます。
定期的に見なおすことが大切ですね。
突然、どんな危機がおとずれるか誰にもわかりません。
少しでもリスクを回避できるよう、いろいろな場面における計画の作成が重要です。
また、補助金などを申請するときの、各種計画書の作成にも活用できます。
アクセルパートナーズでは事業計画書を作成するお手伝いもできます。お気軽にお問い合わせください。