ホーム > 代表コラム一覧

経営計画を策定する重要さと目標設定の仕方

  •  
    公開日:

経営計画はしばしば絵に描いた餅のように見なされがちですが、実際には会社の成功にとって不可欠です。

計画を持つ会社は成功しやすく、持たない会社は成功してもその再現性がないため計画を立てることは重要になります。

なぜ経営計画を策定することが重要なのか

経営計画は、単に将来のビジョンを描くだけではなく、会社の成長と安定性に直接影響を与える重要な要素です。なぜ経営計画を策定することが重要なのか、以下の2点に分けて解説します。

①目標売上に比例した人員を採用する

②前年と比較し高い目標を設定することが経営者の責務

①目標売上に比例した人員を採用する

経営は人を通して事を成すことであり、重要なのは、人を採用するタイミングであり、さらには必要な売上に対してどんな社員人数で望むかです。

売上を1.2倍にするためには社員の能力も同じ比率で成長する必要がありますが、逆に1.5倍の様に売上以上の人件費がかかると利益が下がります。加えて、採用してから実際に社員が活躍するまでには6〜8ヶ月かかることを見越して計画する必要があります。

しかし、半年後の売上が不確かなため、効果的な採用は困難です。このため、補充採用は計画的ではなく、即戦力や経験者、人材派遣への依存は効果的ではない場合が多いです。

②高い目標を設定することが経営者の責務

経営計画においては、高い売上目標を設定することが重要ですが、不確実な外部環境や将来の売上の不透明さにも関わらず、絵に描いた餅のように思える目標を設定し、達成することが企業成長の鍵となります。

大きな顧客が去るなどの状況に直面した場合でも、営業活動の強化や経費削減などの手段を講じることが重要です。売上が下がった場合でも、利益目標を達成するためには差分を埋める努力が必要です。

例えば、5,000万円の利益が目標であるが、1,000万円減少した場合、その差を埋めて目標利益を達成することで会社は成長します。なので、売上目標は、経営者が自らに課すべき挑戦的な目標として設定されるべきともいえます。

どのように目標設定をすればいいのか

私は目標設定を行う際に以下の3点を意識しています。

①前年を確実に上回る目標

②物価高騰を加味した売上目標を設定

③現金が減らない売上目標

①前年を確実に上回る目標

経営計画において、前年の成績を上回る目標の設定は非常に重要です。何故なら、社員の給与は引き下げられず、社員は毎年年を取るからです。日本の法律では給与の引き下げが禁じられているため、年齢とともに増加する給与負担に対応する必要があります。

特に30代の社員は、会社の利益の源泉となりうる重要な存在です。彼らは結婚や子育てといったライフステージの変化に直面し、それに伴う金銭的負担が増大するので、給与負担に対応できないと、退職される恐れがあります。

もし彼らが会社を去れば、企業の安定性に大きな打撃を与える可能性があります。

一方で、20代の社員は会社の未来を形成する人材です。彼らが残り、成長するためには、適切な給与とキャリアの機会を提供することが不可欠です。この世代が会社を去ることは、企業の将来に対する投資を失うことを意味します。

したがって、経営計画における目標設定は、単に数値を上回ることを超え、社員のライフステージや給与のニーズを考慮に入れ、彼らが会社に留まり続けることを促すことも含まれます。これにより、企業は継続的な成長と安定を達成することができます。

②物価高騰を加味した売上目標を設定

経営計画において、物価の上昇を考慮した目標設定は非常に重要です。最近、物価が約5%上昇しており、最低賃金も上がっています。このような環境下では、単に前年の成績を上回るだけでなく、物価上昇率を考慮した売上目標を設定する必要があります。具体的には、102%から105%の成長を目指すことを心がけています。

この目標達成のためには、物価高騰や価格転嫁、生産性の向上についての社内勉強会を開催するなど、さまざまな取り組みを行っています。お客様に迷惑をかけないように生産性を高めることで、企業としての競争力を保ちながら、顧客満足度を維持することが求められます。

③現金が減らない売上目標

多くの会社は借入金を持っており、これを毎年返済しています。税金支払い後の当期純利益からこれらの借入金を返済するため、短期借入金の金額を上回る当期純利益を達成することが必要です。そうしないと、現金が減ってしまいます。そのため、短期借入金以上の当期純利益を生み出す売上高を目指すことが重要です。

例えば、年間で1,000万円の返済がある場合、最低でも1,000万円の当期純利益を出さなければなりません。さらに、法人税も考慮に入れる必要があり、経常利益としては1,500万円が必要です。もし会社の売上高計上利益率が10%の場合、必要な売上高は1億5千万円となります。

このような売上目標を達成するための取り組みを行うことで、企業はお金が減ることなく、優秀な社員を育成し、しっかりと利益を残すことができます。これにより、未来に向けた成長が可能となります。

まとめ 

いかがでしょうか?いかに経営計画を策定することが企業の成長にとって大切なのかを解説してきました。

売上目標を全力で達成するためには、経営者が全能感を手放し、組織全体の協力を引き出すことが重要です。これにより、優秀な社員が育ち、しっかりと利益を残すことができます。

目標設定は、単なる理想を描くことではなく、企業が未来にどのような方向へ進むべきかを明確にするための重要なプロセスです。決して達成不可能な「絵に描いた餅」ではなく、実現可能な計画として捉え、それを現実に変えることが経営者の使命です。この姿勢が、経営者としての成長だけでなく、組織全体の発展をもたらす鍵となります。

私も年末年始の時間を有効活用して、売上目標について向き合いたいと思います!

この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

Webマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWebコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

Xをフォローする