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経験者・即戦力に依存するデメリットと依存しないための方法

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求人広告に携わっていると、経験者・即戦力が欲しいという声を多く聞きます。

もちろん経験者・即戦力者の採用はメリットも多く、企業にとっても一定数は必要です。

ただし経験者・即戦力者に依存していると、企業は成長していきません。

今回は経験者・即戦力者のメリット・デメリットと依存を避け人材を定着する方法についてお話していきます。

経験者・即戦力のメリット

経験者・即戦力者の採用には、以下のように多くのメリットがあります。

教育不要ですぐに活躍できる

経験者・即戦力者を採用した場合の最大のメリットは、未経験者のように業務について一から教えなくても、入社直後から仕事を任せることができるという点です。

また競合での仕事経験がある場合は、業界に関する専門知識や人脈を活用し、企業に新たなビジネスチャンスをもたらしてくれる可能性もあります。

社内になかった新しい視点やスキルを入手できる

高度なスキルや専門知識を習得している経験者を採用することは、企業の業務改善や生産性の向上につながります。また他社で培ってきたノウハウや価値観によって、自社になかった新しい視点やスキルを入手することができます。

スタート時の給与額はそれほど高くない

企業の方針によって異なるので一概には言えませんが、一般的に中途採用の場合、経験者であっても社歴が浅いため、スタート時の給与はそれほど高くありません。もちろん入社後に、経験を活かし成果を出すことによって早期に報酬アップとなることもあります。

リスクが少なく自信をもって採用できる

未経験者の採用の場合、教育をしても成長度合いや企業への貢献度は未知数です。対して経験者は、過去の経験から得た知識やスキルに加え、様々な問題解決能力を身につけていることが多いため、安心して採用することができます。

経験者・即戦力のデメリット

経験者・即戦力を採用することは多くのメリットがあることは前述した通りですが、以下のようなデメリットもあります。

離職率が高くなる傾向がある

経験者・即戦力として採用された社員は、平均的に離職率が高い傾向にあります。

せっかくコストをかけて採用できても、根本的な問題の解決ができないままでいると、経験者採用→早期離職→人員不足という悪循環から抜け出すことができません。

転職者が離職してしまうのは、入社前後で幸福度が上がらず、会社に対するエンゲージメントが向上しないためです。

例えば、入社前は仕事内容や企業の経営方針に期待が高まっていますが、実際入社して仕事を始めてみると、期待と現実との間にギャップが生じることがあります。

このギャップによって、「このまま居続けても成長できない」「この会社では期待する結果を得ることができない」という結論になり、早期離職につながってしまうのです。

年齢構成のばらつきが指示系統に影響を及ぼす

幅広い年齢層の社員がいることで異なる視点や経験を企業に活かすことができます。しかし世代間のギャップなどによって、チームの調和が崩れ指示系統がうまく行かず、働きづらい職場環境となることがあります。

例えば、社歴5年~10年の社員ばかりのチームに、リーダーとして入社1年目の社員を配置すると、自分よりも社歴の浅い上司からの指導やアドバイスを受け入れることができず、チーム内に不和が生じる可能性があります。

また、異なる年齢層の社員を複数名採用すると意見がまとまらず、会社が達成したい目標とは違う方向に進んでしまうということになるかもしれません。

既存の社員のモチベーションが下がりやすくなる

経験者・即戦力として採用された社員を通して、業務の効率化やノウハウを取り込むことで企業内を活性化させることができます。しかし長年、会社の方針に沿って動いてきた既存の社員の意見を考慮せずに、新しい人達が急に方向転換してしまうと、既存の社員達のモチベーションはが低下してしまうでしょう。

経営者を尊敬していない場合がある

経験者・即戦力となる人材には、自分のキャリアのステップアップのための途中段階として入社してくる場合があります。

具体的にいうと、業界4位の会社にいた人が業界2位の会社に入るために、業界3位の会社に転職して経験を積むというような場合です。

いくら経験や即戦力となる人材であっても、経営者への敬意を持たず、経営理念に共感できないようでは、同じ目標に向かって進んでいくことはできません。

経験者・即戦力への依存を避ける方法

企業にとって経験者・即戦力の採用はメリットも多く、一定数必要です。

しかし経験者・即戦力のある人材におんぶに抱っこで依存してしまうと、会社の成長は期待できません。ここでは、経験者・即戦力への依存を避ける方法についてお伝えします。

離職率を下げる

大切なのは離職しない会社を作るということです。離職率が高いと人材不足に陥り業務が回らなくなります。このような状況下では、どうしても即戦力となる経験者を採用したいと思うでしょう。

事業の拡大などのための採用であればいいのですが、高い離職率が原因の増員では、経験者を採用しないと回らない会社になってしまいます。つまり根本的な原因を改善し、社員の定着率をあげることが必要なのです。

人材を定着させる方法については、次の章で詳しくお話します。

教育体制を整える

経験者に依存しないためには、未経験で入社しても会社に貢献できるようになるための教育体制を整備することが重要です。

具体的には、実際の業務の中でスキルや知識を身につけることができる適切なOJTの機会の提供や、専門的な内容を学ぶことができる勉強会の実施などです。

また経営陣の方針や戦略を現場に伝え、部下の指導やマネジメントという重要な役割を担う中間管理職の育成も重要となります。

そして忘れがちですが、頑張れば成果に見合った報酬が提供されるということを社員に示しておくことは、モチベーション維持のためにもとても大切です。

計画的な採用を行う

離職者が出たり、業務が忙しくなったりしてから慌てて採用活動を始めると、どうしても経験者・即戦力採用に依存しがちになります。

もちろん即戦力となる人材の採用は、企業にとって一定数は必要です。しかし前述したように、一度に複数名の経験者を採用すると社内の調和が乱れる場合もあります。

経験者頼みの採用とならないよう、長期的な採用計画をたてた上で、未経験者を育成しながらバランスのとれた採用活動を行うことが大切です。

業務を細分化する

一人が多くの業務をこなさないといけないような仕組みでは、社員が一人前になるまでに時間がかかってしまい、結局は経験者・即戦力者に頼らざるを得ない状況になります。まずは業務の棚卸しを行い、大きなタスクを細かく分解してみましょう。

業務を細分化し、社員がスキルを段階に習得していくことで一人前になるまでのスピードが向上します。また社員自身も段階ごとにスキルを習得したうえで、業務を広げていくことができるので、自信をもって仕事に取り組むことができるようになります。

マニュアルを作成する

業務マニュアルは、業務プロセスや手順を標準化するためのものです。つまり業界未経験者でも業務マニュアルと同じ方法を実行することで、業務を学びながら経験者と同じ結果を得ることができます。

逆に業務マニュアルがないと非定型的な業務となってしまい、経験者でないとできないという状況に陥ってしまいます。

業務マニュアルを作成する際には、業務プロセスを明確にし、社員が確実に実行できるような手順を記載することが重要です。

経験者・即戦力の人材が定着する方法

せっかく苦労して経験者・即戦力となる者を採用できたとしても、離職されてしまうと意味がありません。そこでここでは人材を定着するための方法について説明します。

既存の社員と比べて不当な扱いをしない

経験者・即戦力者は給与やその他労働条件などの待遇において、既存の社員と比べて不当な取扱をされることを嫌います。逆も然りで既存の社員を優遇すると、経験者・即戦力者の士気は下がってしまいます。つまり既存の社員を尊重しつつ、経験者即戦力者を適正に評価していくことが求められるのです。

各人のスキルや経験に基づいた適正なポジションを用意し、コミュニケーションを通じて信頼関係を築いていければ、その人の能力を最大限に引き出していくことができるでしょう。

教育を行う

経験者・即戦力者を採用すると、すぐに業務を任せることができるため教育をないがしろにしがちです。しかしどれほど業務経験が豊富であっても、新しい会社で全てがそのまま通用するとは限りません。

業務内容だけでなく企業のミッションやビジョンを、教育の過程で伝え続けていくことで、長期的に企業へ貢献できる人材の育成が期待できます。

経験者でも育成コストをかけて教育していくことが大切です。

採用に細心の注意を払う

ステップアップだけが目的ではないか、社風にあった人物であるかを、採用の段階で細心の注意を払って見極めることが重要です。

もしもある程度の経験と歳を重ねた人であれば、食事などを通じて双方の思いや夢について語り合ってみるのもいいでしょう。お互いを理解することができれば、採用後のミスマッチを防ぐことができるかもしれません。

採用の時点で自社の価値観や社風をしっかりと伝え、お互いが納得した上で入社してもらうことが、人材の定着につながります。

会社自体が成長する

転職は当たり前と言われる今の時代、人材紹介会社に登録すればさっさと次の職場を見つけることができます。つまり転職先として自社が選ばれたとしても、また他社に転職していくということもあるということです。

ではどうすれば自社にとどまり続けてもらえるのか。

その答えは会社自体が成長し続け、働く社員が将来的なビジョンを抱けるような環境を提供するということです。

社員が「働き続けたい」と思える魅力的な会社にしていきましょう。

転職理由に寄り添う

転職するということは、前職において何らかの問題があったために辞めたということです。特に3年以上継続勤務した上で退職を選択したということは、コアな事情があるはずです。

具体的には以下のような原因が考えられます。

・やりがいがない

・賃金や評価に不満がある

・将来性に問題がある。

退職理由は年齢や性別の他、個々の事情により様々です。しかし何が原因で働き続けることができないのか、一人ひとりの社員に寄り添って問題を改善していけば、前職よりも高い幸福度を与えることができます。

5年先、10年先の会社のビションを社員と共有し、各々が目指すキャリアを一緒に描いていくことができれば、きっと会社に貢献してくれる人材となるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

経験者・即戦力として採用した社員も、未経験で入った社員のどちらも会社にとっては大切な人材です。

経験者・即戦力者を、すぐに採用しないと会社の業務が回らないというような常態が続くようであれば会社の成長は望めません。

経験者・即戦力者に依存するのではなく、それぞれの社員の強みや役割に応じて適切なバランスを保つことが大切です。そして経験の有無に関わらず、社員が協力して成果を上げられる環境を整えていきましょう。

この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

Webマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWebコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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