時間外労働等改善助成金の特例発表!中小企業の初めてのテレワーク導入事例
- 2020年03月04日
今井志津
テレワークに在宅勤務、リモートワークなど、働き方改革の推進にともない、よく聞くようになった言葉です。
在宅勤務はその名の通り、「自宅で働くのかな?」とイメージできます。でも、テレワークなどのカタカナ表記になると、違いがいまいちよく分からない…そんな方もみえるのではないでしょうか。
少子高齢化などにより人口減少が叫ばれるなか、共働きの世帯が増加し、人生100年時代と言われ、女性や高齢者の労働参加が増えてきました。
中小企業・小規模事業者の中には、女性や高齢者を積極的に活用している企業もあります。うまくテレワークが導入できれば、働き方の多様性に対応でき、多くのメリットを受けることができるかもしれません。
ITリテラシー(ITを適切に活用する基礎的な知識や技能)が低いと、少し躊躇してしまうかもしれません。「テレワークとはどんなものなのか」、まずは知識として知っておくだけでもよいとおもいますので、一緒にみていきましょう。
目次
1.テレワークとは
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことです。
(出典)総務省
図の中の、3つの働き方について説明していきます。
①在宅勤務
従業員の自宅で働きます
②モバイル勤務
電車、バス、飛行機など移動途中やカフェなどで仕事を行います
③サテライトオフィス勤務
勤務先以外のオフィススペースで働くことです。他にもシェアオフィスやコワーキングスペース、レンタルオフィスなどがあります
最近では、テレワークとほぼ同じ意味で、リモート(=遠隔)ワークと呼ぶこともあります。職種などによって、呼び方が使い分けられているようですね。
2.導入のメリット
テレワークを導入すると、社会・企業・就業者の3方向に、さまざまなメリットをもたらします。
①社会
・労働力人口の確保
退職した高齢者、通勤が困難な障がい者、遠方の居住者などの、新たな雇用の創出につながります
・地域活性化
人材の誘致、企業の誘致により、地域の経済が活性化します
・環境負荷の軽減
通勤にともなう移動の減少やオフィスの省力化によって、電力の消費・CO2の排出量を削減します
②企業
・生産性の向上
顧客への迅速で、的確な対応ができるようになります(営業職)
計画的・集中的な作業をおこなうことで、業務の効率がアップします(研究開発職、スタッフ職、営業職など)
・優秀な人材の確保・離職抑止
柔軟な働き方は、知識・経験豊富な人材の離職を防止して、新たな人材の確保にもつながります
・コストの削減(ペーパーレス等)
オフィスペーパー、ペーパーコスト、通勤・交通コストを削減します
・事業継続性の確保(BCP=事業継続計画)
非常災害やパンデミック(感染症流行)、交通混雑(運休)などが起こったときに、迅速に事業を継続することに役立ちます
③就業者
・多様で柔軟な働き方の確保(ワークライフバランス)
家族と過ごす時間や自己啓発などの時間の増加によって、仕事と生活を両立させることができます
・仕事と育児・介護・治療の両立
育児や介護をかかえているオフィスワーカーや、高齢者・障がい者など通勤が困難な人たちへ、働きやすい環境を提供することが可能になります
・通勤時間の削減
このように、社会・企業・就業者それぞれの立場において、多くのメリットがありそうですね。
実際に、中小企業・小規模事業者がテレワークを導入した事例がいくつもあります。ぜひ、参考にしてみてください。
参考資料はこちら
また、導入に際しては、「業種」や「企業規模(従業員数)」によって、抱える課題も異なってくるようです。
テレワーク先進企業の具体的な事例を交えながら解説している、分かりやすい資料があります。ぜひご覧ください。
参考資料はこちら
3.導入を検討するときの情報収集先
総務省や厚生労働省をはじめ、各省庁でもテレワークなどの推進をしています。
テレワークの総合ポータルサイトや相談センターなど、多くの情報を収集できます。
以下のサイトも、ぜひ活用してみてくださいね。
厚生労働省 テレワーク普及促進関連事業
4.時間外労働等改善助成金の特例
『時間外労働等改善助成金(テレワークコース)』
労働時間等の設定の改善(※)および仕事と生活の調和の推進のため、
「在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワーク」に取り組む中小企業事業主を支援する制度です。
(※)「労働時間等の設定の改善」とは…各事業場における労働時間、年次有給休暇等に関する事項について、労働者の生活と健康に配慮するとともに、多様な働き方に対応した、より良いものとしていくことをいいます
令和元年12月に終了しましたが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、特例的なコースを新たに設け、速やかに申請受付を開始すると発表されました。
●社員の育児や介護と仕事の両立を支援したい
●社員の通勤負担を軽減したい
●ワークライフバランスを推進して、社員のやる気をアップさせたい
●優秀な人材を確保したい
このようなお考えをもっている、中小企業・小規模事業者の方は、テレワークの導入を検討してみてくださいね。
5.まとめ
国をあげてテレワークの推進をしていることが伝わってきました。
(出典)「人口推計」(総務省統計局)令和2年2月
グラフをみても明らかですが、人口減少は待ったなしです。
2025年には団塊世代が75歳を超え、2050年頃には団塊ジュニア世代が75歳を超えると言われています。
自社がゴーイングコンサーン(企業がずっと続くこと)するために、まずはできることから始めてみてはいかがでしょうか。
テレワークはその対策の一つにすぎませんが、自社の変革のきっかけになれば幸いです。
今後も中小企業のみなさまを応援していきたいとおもいます。