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【徹底解説】事前着手申請の書き方や方法!理由の例あり(事業再構築補助金)

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コロナ禍で厳しい経営環境が続くなか、事業者さんの間で何かと話題になっているのが事業再構築補助金です。
ですが、その補助金に「事前着手申請制度」という特別な制度があるのをご存じでしょうか?

今回は、その「事業着手申請制度」について、事業再構築補助金の公式マニュアルに沿って、当社の携わった事例を交えつつ、その内容やメリット、デメリット、以前との変更点や文面作成の例、申請方法や通知が出るまでを丁寧に詳しく解説します。

第10回以降の公募からは、事前着手申請を行うことができるのは、3枠「物価高騰対策・回復再生応援枠」「サプライチェーン強靭化枠」「最低賃金枠」のみとなりましたので、注意が必要です。

【事業再構築補助金2023】10次からの重要な点を解説!売上高減少要件の撤廃など変更

では、はじめに事前着手申請の詳しい内容に入る前に、簡単に補助金の交付までの流れについておさらいします。

事業再構築補助金の交付までの流れ

補助金の交付は事業者による支出を確認した後に行われます(つまり後払いです)。

【申請から交付まで】

①交付申請→②申請内容の審査→③交付決定→④事業開始(設備の導入等の実施・支出)→⑤実績報告→⑥確定検査→⑦補助金支払

※交付申請については、こちらで詳しく解説しています。

交付申請・・・【徹底解説】事業再構築補助金の交付申請の方法と必要書類

では、事前着手申請はどの段階で行う手続きなのでしょうか?
事前着手申請は、基本的に交付申請前に行う手続きとなっています。

事前着手申請制度とは「交付決定前」でも事業開始が可能となる制度

補助金の審査に通り、補助金を受け取れるということになっても、事業の開始が交付決定後になってしまうのが多くの補助金制度上のルールです。
事業者の方々は「1日も早く事業を開始して経営を立て直したい」と感じておられるかもしれませんが、交付決定までは工事の発注や物品の購入を行うことができないというのが原則となっています。

しかし、事業再構築補助金の場合、事前着手申請を行うことにより、「交付決定前」でも事業を開始することが可能となります。
申請作業自体はそれほど難しくないです。交付申請や実績報告と違い、差し戻されることもほぼなく、申請によるデメリットはないため、手続きを行うことがおすすめです。

では、内容を詳しく解説していきます。

事前着手申請制度とは?

事前着手申請制度とは、一言で言うと「事業のために補助金の交付決定前に支払った補助経費を補助対象とできる」という内容です。

本来であれば補助経費の支出は、交付決定後の事業開始時以降に支払うものが対象です。
そのため、例え公募で採択されたとしても、交付決定前の費用は対象外となってしまいます。
実際、事業再構築補助金以外の補助金である「ものづくり補助金」などには、現在、事前着手制度がありません。

しかし事業再構築補助金に関しては、この制度によって交付決定を待たずに支払った補助対象(となる予定の)経費を補助対象とすることができます。
また、事前着手提出のタイミングは応募申請の前に出すことも可能です。

いつからいつまで?事前着手申請の申請期間

事前着手申請の申請期間は、公募回の公募開始日から交付決定日までとなっています。

事前着手申請の主なメリット3点

①交付決定前に経費の支払いができる

事前着手申請のメリットは、何といっても「交付決定前に事業再構築に向けた経費の支払いができる」ということです。この制度によって交付決定を待つことなく、いち早く事業再構築のための行動を開始することができます。
ちなみに、当社の事例からいきますと、初回の交付申請から交付決定までは、審査や差し戻しを含め2~4ヶ月かかる傾向にあります。
また、交付申請のためには見積書など各種書類を集めることや、様式への記入が必要となるため、ある程度の時間が必要となります。

そのため、交付決定前に購入を可能とする事前着手は、コロナ禍の中で落ち込んでいる業績を立て直していくための強い味方になってくれる制度と言えます。

②支払後でも補助金の対象にできる可能性がある

事業再構築補助金の存在を知らずに「事業再構築のための経費」の支出をした場合でも、条件さえ合致すれば経費の支出後から交付申請と事前着手申請を行うことができます。
経費支出の後から交付対象とすることが可能ということです。
ただし、採択回により対象にできる経費の期間が異なります。

第 1 回~第 5 回公募の採択:令和 3 (2021)年 2 月 15 日以降
第 6 回~第 9 回公募の採択:令和 3 年 12 月 20 日以降
第10 回公募以降の採択:令和 4 年 12 月 2 日以降

この運用が可能なのは、補助金に伴う手続きが下記のような性質をもっているためです。

応募申請→事業内容の採択
※応募申請時では、見積書の提出は不要のため、採択金額内での融通がある程度効きやすいです。
交付申請→投資内容を確定させる手続き
※見積書などの提出を行います。当社の印象として、交付決定以降は事業内容や投資内容の変更がかなり困難です。
実績報告→補助事業の実施内容を報告し、補助金の受給金額を確定させる手続き
※多岐に渡る書類の提出が必要なため、交付申請よりも申請作業が大変な手続きです。

当社アクセルパートナーズでは、採択後、交付申請・実績報告ができずに困っている事業者様向けに交付申請サポートサービス実績報告サポートサービスを提供しております。
事前着手についても交付申請サービス内で対応させていただいておりますので、ご興味のある方はリンクやボタンなどからお気軽にお問い合わせください。

③経理書類の整合性が取りやすく、再取得を削減できる

交付申請時に提出する見積書は、「交付申請日に有効な見積書」です。
例えば、見積書の日付が2022年1月1日で「有効期限:30日」だった場合、2022年1月30日までに交付申請を行わなければ、事務局から再取得を求められることが予想されます。
一方、事前着手申請を行っていれば、第6回公募での採択の場合は、令和3(2021)年12月20日以降有効な見積書であれば有効期限が交付申請時に切れた状態であっても問題ありません。

また、実績報告の際にも経理書類の削減が期待できます。
そもそも交付申請から交付決定までには時間がかかります。その間に有効期限が切れた場合は、事前着手申請を行っていない場合、実績報告の際に、見積書を再取得し時系列の整合性が取れている書類の提出を求められる可能性が高いです。

事業の融通が利きやすくなる事前着手申請ですが、何かデメリットはあるのでしょうか?
前述の通り、基本デメリットはありませんが、思わぬ事態となる可能性があります。

デメリットとなり得るポイント?「いち申請作業で採択&交付決定ではない」「期間の条件アリ」

この事前着手申請制度ですが、利用にあたり気を付けるポイントが2点あります。
この点についてデメリットとなる可能性がありますが、事前着手申請自体を行うことに基本的にデメリットはないため、事前着手申請を行っておくことをおすすめします。

事前着手申請が承認されても採択・交付決定が決まったわけではない

事前着手申請を行い承認を受けても、それはあくまで事前申請が承認されただけであって、補助金交付が約束されたわけではありません。

また、事前着手は、採択前に行うことができる申請ですが、承認されたからと言って採択されることが決まったわけでもありません。

補助金の交付申請が不承認となった場合や、採択されても申請時よりも減額された場合などはその結果が優先されます。その場合、事前着手申請の内容は交付決定の内容に従うことになります。

なお、事前着手申請を行ったとしても、本来の補助金の「交付申請」の手続きも行う必要がありますので、ご注意ください。

事前着手申請の対象とできる補助経費には期間の条件がある

事前着手申請の対象とできる補助経費には期間の条件があります。
期間は下記の通りです。

第 1 回~第 5 回公募の採択:令和 3 (2021)年 2 月 15 日以降
第 6 回公募以降の採択:令和 3 (2021)年 12 月 20 日以降
第10 回公募以降の採択:令和 4 年 12 月 2 日以降

上記のように、採択回により対象にできる「購入契約(発注)等を行った事業に要する経費」の期間が異なります。

それ以前の購入(発注)に係る経費は対象外となりますので注意が必要です。

事業再構築補助金 第6回目公募以降の変更「期間」

事前着手申請制度について、第6回目の公募から内容が少し変更になっています。
それが上記にある、事前着手の申請対象とすることができる補助金の補助対象期間です。
特にこれまで第5回以前の公募対象のときから補助金申請を検討されていた企業の方々には要注意事項ですので、ご確認ください。

【追記】第10回目公募以降の変更「対象の枠は3枠のみ」「期間」

第10回公募から、事業再構築補助金自体に大きな変更がありました。
冒頭でご紹介した通り、第10回以降の公募からは、事前着手申請を行うことができるのは、3枠「物価高騰対策・回復再生応援枠」「サプライチェーン強靭化枠」「最低賃金枠」のみとなっています。

【補助経費の期間の条件】
第10 回公募以降の採択:令和 4 年 12 月 2 日以降

事前着手申請の入力・作成内容(300文字)例文あり

申請可能期間は、各公募開始日から交付決定日までです。
申請方法は、公募の応募時と同様にjGrants(電子申請システム)から申請します。
wordで申請内容をまとめてから、入力を行うことがおすすめです。現時点での必要な項目をご紹介します。
下記は、採択時以降の項目になりますので、応募申請前後の場合は入力項目がもう少しあります。

事前着手申請の入力項目と解説

基本的に前半は、応募申請時の「電子申請入力項目」やダウンロードした「交付申請書別紙1」を閲覧し、入力が可能かと思います。

【入力項目】

●応募回
●事前着手開始時期
・・・当社の携わった事例ですと、事前着手時期は、一番早い発注日よりも前、あるいは、見積書の一番早い日等で設定しましたが、特に問題はありませんでした。
●事業者様の業種(中分類)
●従業員規模
●会社のHPがある場合は記入

上記項目以降は、特に準備が必要となります。300文字以上は入力できない仕様となっていますので、wordなどで文字カウントを行ったのち申請を開始することがおすすめです。
基本的に、応募申請時に提出した事業計画書をもとにまとめていけば作成はスムーズかと思います。
例文は一例ですので、自社の取り組み内容にあわせてアレンジしてみてください。なるべく300文字近い文字数であるほうが良い印象があります。

●新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業の概要を記載してください。(300文字以内)
・・・既存事業の概要について記載します。

例文:
株式会社〇〇は〇〇市に所在し、〇〇を行う会社である。事業は、主に〇〇を行っている。既存事業である〇〇事業は〇〇という強みがあり、当社は〇〇というノウハウを持っているため、他社との差別化を図ることができている。

●事業計画の概要(300文字以内)
・・・補助金の対象となる新規事業について記載します。

例文:
コロナ禍の影響による売上減少や、〇〇のために売上が伸び悩む状況を解決し事業を拡大していくため、これまで取組実績のない「〇〇事業」を行う新分野展開(※自社に該当する類型を記載)を実施する。具体的には、本事業で〇〇を新設(購入)し、〇〇という新商品を販売する(という新サービスを開始する)。当社の〇〇というノウハウを生かし、〇〇によって他社との差別化を図り、新規顧客獲得と収益源の多様化を実現する取組である。

●新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による事業活動への影響(300文字以内)
・・・既存事業が新型コロナウイルス感染症の影響でどのような影響を受けたか記載します。

例文:
当社の主軸である既存の〇〇事業は、〇〇だったものの、コロナ禍の影響から〇〇となり売上減となった。また、〇〇となり利益率が減少した結果、売上〇〇%減となった月もある。当社に〇〇というノウハウがあり既存事業を行っているものの、現在の体制では〇〇(※人手不足などの弱みといった要因)という状況となっている。以上のことより、〇〇という課題解決により事業の再構築を行うことが急務である。

●事業開始が遅れた場合に生じ得る影響(300文字以内)
・・・事業が遅れた場合、機会損失が起ってしまうなど、生じる可能性のある影響を記載します。

例文:
当初の着工(購入)予定は20〇〇年〇月であった。事前着手申請を行わず、交付決定を待つ場合、〇ヶ月程ずれ込む可能性があるため、着工(導入)が〇月前後になってしまう。事業化については、20〇〇年〇月から可能であると予測していたが、ずれ込む場合、その分機会損失となってしまう。新型コロナウイルス感染症による売上減少や人手不足による状況を改善し事業を拡大していくためには、早急に新規事業を開始し、経営面・雇用面を安定させる必要があると推察される。

●応募申請時の受付番号・・・Rから始まる番号です。

念のため、一時保存ボタンを押しつつ作業を行うのがおすすめです。

事前着手の申請方法

事前着手の内容を作成したら、いよいよ申請を行います。
公式HPにある「補助金申請システム(jGrants2.0)事業者マニュアル 事前着手申請」をもとにご紹介します。

①補助金を探すボタンを押し、検索で「事前着手」と打ち込みます。

②自身の応募回の事前着手申請のリンクをクリックします。

③GビズIDでログインし、申請を進めます。

あとは、上記の入力内容を打ち込んでいき、申請するボタンを押下し完了です。

事前着手申請の承認はいつでるか?約2週間程度

事前着手申請の承認は、補助金の事務局によって決定後に結果が通知されます。
通常は申請から10日~2週間程度で通知されます。

承認通知など通知は基本的にメールで来ます。

審査結果の確認は、jGrantsのマイページからも確認することができます。

交付申請では「事前着手承認の通知文書」の提出必要となるため、マイページの「作成済みの申請」から、「当該事業の通知文書添付ファイル」の下に表示されているファイル名を押下し、ダウンロードした文書を開き、PDF等で保存しておくのがおすすめです。

まとめ

今回は、事業再構築補助金の事前着手申請制度について解説しました。

事業再構築補助金は、事前着手があることも相まって、要件さえ満たせばかなり使い勝手の良い補助金です。
補助金の交付決定前に事業着手できる便利な制度として、ぜひ活用をご検討ください。

ただし、事前着手申請が可能な経費の契約(発注)時期には条件がありますので、くれぐれもお間違いのないようにご注意ください。

当社アクセルパートナーズでは、第1回公募より100社以上ご支援させていただいた経験をもとに、事業再構築補助金の申請サポートをはじめ、採択後、交付申請・実績報告ができずに困っている事業者様向けに交付申請サポートサービス実績報告サポートサービスを提供しています。
事前着手についても交付申請サービス内で対応させていただいております。

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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