コロナショック不況後の温泉旅館・観光業の新しいニーズ予想

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時代に合わせてターゲットが変わる旅館業界

温泉旅館というと「時代の変化に影響されずにゆっくりと時間が流れている」印象ですが、時代背景に合わせてマーケティング戦略は大きく変化しています。 まずは今までの旅館業界を取り巻く環境変化について振り返りたいと思います。  

1.社員旅行やゴルフコンペ需要が大きく成長

バブル時代には「豪華な社員旅行」というのが当たり前で数十人以上の団体客で大きく栄えました。 団体客は効率が良いため利益も出しやすく旅館業界にとっては良いお客さんでした。 また、その頃好景気によりゴルフの需要も伸びたことで団体客が増加しました。 今でも旅館に行くとあまり使われていない団体広間を見かけることがありますがそのころの名残になります。 その頃は社員旅行を取ってくる旅行代理店が集客の中心でした。 過去はどこの会社も社員旅行に行くのが当たり前でしたが、バブル崩壊とともに社員旅行の需要が徐々に減少していきます。  

2.家族・友人需要へのシフト(IT未発達時代)

社員旅行が下火になるに連れて個人客へターゲットがシフトしていきます。 建物をリノベーションして2~4名程度で宿泊し家族や友人で旅行する需要に合わせて細かなサービスをできる旅館が成長していきました。 団体客はそこまできめ細かなサービスや料理の質が求められないこともあり、サービスの質を変化せずに団体客→個人客へのシフトに失敗した旅館は失速していきました。 この頃は、JTBやH.I.Sと言った街中にある旅行代理店での予約や「じゃらん」を中心にした旅行予約雑誌からの集客が中心でした。 そのためとにかく旅行代理店に売ってもらいやすい企画や「じゃらん」うけするプランでの集客が求められました。 今でこそインターネットで細かな情報や口コミを検索して簡単に判断できますが、そのころは「じゃらん」の小さな枠の1枚の写真が勝負でしたのでとにかく写真映えする食材を所狭しと並べたコースが人気でした。 2005年頃からインターネットの普及により予約システムや趣向が大きく変化していきます。  

3.家族・友人需要(IT普及初期)

続いてじゃらんネット・楽天トラベルを中心にインターネット予約サイトが大きな力を発揮します。 それにより、情報を細かく閲覧できるようになりユーザは手軽に予約できるようになり、口コミと価格比較が大きな力を発揮し始めます。 その為「少しでも競合より安く」と言った価格合戦が旅館業界を苦しめる形となります。 ただ、1件あたりの獲得手数料は前述の旅行代理店に比べると安いこともあり、ほとんどの旅館がインターネット予約に力を入れていきます。  

4.スマホの普及による趣向の多様化

続いてスマートフォン・SNSが一般的に普及したことにより、趣味趣向が多様化していきます。 例えば ・サイクリング需要 ・学び・体験を取り入れた旅行 ・ペットとの旅 ・女子会 ・パワースポットを巡る旅 ・赤ちゃん連れの旅行 ・インスタ映え など、様々な需要が伸びていったことで価格だけでなく細かな付加価値を提供することで客単価や客数を伸ばすことに成功していきました。  

5.インバウンド需要の取り込み

中国や韓国の経済発展やスマートフォン普及の影響などにより外国人観光客が増大しました。 「爆買い」という言葉が流行し外国人観光客が押し寄せました。 外国人向けのサービスが求められ各旅館が外国人観光客の獲得をしました。 それにより旅館の予約が取りづらくなり価格競争に歯止めがかかりました。 平均単価が上がっていくとともに日本人観光客が少しずつ温泉旅館を敬遠しキャンプなどの需要が増加しています。   ここまでが今ままでの流れで、コロナショックにより現在大きなダメージを受けています。 この後コロナウイルスが収束したとして、すぐに売上は回復しない為新しい需要の開拓が求められます。 収束後に需要が生まれるものを予想してみました。

今後伸びてくる「大人の学び」需要

・終身雇用崩壊 ・老後2,000万円問題 ・超高齢社会 ・働き方改革・副業解禁 ・大手企業の大量早期退職 ・AIに仕事を奪われる ・<NEW>同一労働同一賃金による派遣社員の契約打ち切り ・<NEW>コロナショックによる経済悪化 これらの動きにより、 「会社にぶら下がっていれば大丈夫」 という考えが減り 「自分でなんとかしなければいけない」 というマインドが高まり、 ・スキル向上 ・副業や週末起業 ・個人での発信とフォロワー獲得 ・人脈作り ・コミュニティ作り を個人レベルで行う動きが増えています。 YOUTUBEのビジネスお役立ち動画を発信する人も増えており、大人が勉強する需要が爆発的に伸びています。 この動きに対して旅館・観光業も対応するためのサービス展開をしていくことが求められると思います。 僕もビジネスコミュニティを運営しておりますが、勉強する上でインプットオンリーにならないように学びを楽しくすることが重要になりますので温泉旅館でそれらを演出することで新しい団体客獲得が見込めるかもしれません。 そのためのアイデアをいくつか列挙してみます。

写真・動画映えするミーティングルーム

おしゃれな机・椅子にホワイトボード、プロジェクターを備えたミーティングスペースが必須となります。 数十人で行うような大宴会場ではなく10名以下くらいで話しあうようにパーテーションなどで区切れると良いと思います。

地域の成功企業から学べる社会見学

一泊してもらうためにはどうしても 「その場でしかできない目立つ体験型イベント」 が必要になります。 地域の成功企業の見学や事例紹介、観光地を巡りながらマーケティングを学べるイベントを仕掛けることで大人の合宿感をだすことができます。

著名人を招いた講演やディスカッション、交流会

旅館側が主催者として著名な文化人を招いて講演を行ったり、その人を囲んだディスカッションを行ったり、参加者同士の交流を促すことで今までなかった顧客の開拓ができるかもしれません。 例えば ”
「温泉旅館でカリスマ女性社長〇〇を囲んで考える、 これからのジェンダーフリー社会についてのディスカッション 〜薬膳料理と温泉、ヨガがついた学び・出会い・健康の旅〜」
” といった形のプランを使って女性客を取り込むツアーとか面白いと思います。 いかがでしょうか? コロナウイルスショックが収束したとしても、インバウンド需要は為替や経済、外交など様々な要素で非常に振れ幅が大きいです。 そのため内需での新たなチャネル獲得が求められると思います。 常に温故知新が求められる温泉旅館で社会変革に合わせた面白い取り組みで盛り上がることを期待しています。]]>

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
運用型広告の知見と経営者として自社の採用に携わっている経験を元に様々な業種の採用改善に携わる。

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