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岩田健太郎教授の動画から考える ~目的の相違による組織間の対立(組織論)~

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ダイヤモンドプリンセス号 岩田健太郎教授からの告発 ※動画は削除されました   この動画は感染症対策の専門家である、神戸大学医学研究科感染症内科 岩田健太郎教授が2020年2月18日にYouYube上に公開したものです。 船に乗り込むものの、専門化の意見が一切聞き入れられず、わずか一日で船からの退去を命じられたといったことを告発をされています。 私自身は実際に船の中の状況をこの目で見た訳ではなく、感染症の専門家でもありませんし、動画の中で語られていることに対して正誤の判断ができるわけではありません。 そういった前提をご理解いただいたうえでご覧いただければと思います。 さて、私は一連の出来事を見て、会社組織の中でも起こりうる事じゃないかと思いました。 どれだけ高い専門性や知識・経験があっても、組織的に問題があるとそれが活かされる事はなく、課題解決に至らないというパターンです。 ということで、この件に関連して組織の課題を解決するには何が必要なのかと考察しました。 ※コロナウィルスに関する最新情報をお伝えするものではありません     ダイヤモンドプリンセス号

1. 船内では何が起こっているのか

 

ダイヤモンドプリンセス号での出来事

  2019年12月末、中国の武漢市内で原因不明の肺炎が広がっていると、世界保健機関(WHO)への報告が入って以降、その拡大はとどまる事を知りません。 2020年2月5日には、大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号でコロナウィルスへの10名の集団感染が確認されました。これを受けて厚生労働省は14日程度船内に待機してもらう方針を示しています。 そしてその後は、皆さんもご承知の通り、毎日新たな感染者の情報が報じられています。 当初、クルーズ船での新型肺炎対策では、国際法・ルール上の制約があることや、明確な規定が存在しないことが政府の対応を難しくしている面があったとのことです。 ダイヤモンド・プリンセス号は日本船籍ではなかったため、旗国主義に基づいて日本の領海に入るまでは英国の法律が適用されます。そのため、日本政府は感染防止のための措置を取ることがませんでした。 乗客には個室での待機を求めてはいるものの、それを強制できる法的根拠がなかった状況だったようです。    

厚生労働省の見解 厚生労働省HP Q&Aより

 全数検査をするには検査キットの処理能力が追い付かず、優先度の高い人から検査していく  今回のケースに適応できる法的根拠がなかったため、政令改正までして「隔離・停留」の強制と、 治療費を公費負担出来るようにした  DMAT(災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム)を派遣しており、 日々変化する状況に必死で対応している  各国との連携、協力のもと今出来る最善を尽くしているし、海外からの評価も得ている  

岩田健太郎氏の見解

 感染対策は悲惨な状態で、レッドゾーン(ウィルスがいるかもしれないゾーン)とグリーンゾーン (ウィルスが全くいないゾーン)すら分けられていない  厚労省の人間が専門家の意見を全く聞き入れない事から、専門家たちは早々に船を降てしまった  自分も進言したとたん船から降ろされそうになり「自分が降りたら感染対策のプロが一人もいなくなる」 と伝えるも下船させられた  専門家が入ってリーダーシップをとって感染対策を行っているものだと思っていたが、まさかここまで ひどいとは想像していなかった  SARSの時には中国現地にいたが、その時よりも情報開示がされておらず医療関係者も危険  対応のまずさを隠蔽しようとしている   政府としては、法整備の不十分ななか一生懸命対応しているといった表現です。実際、寝る暇もないくらい仕事をしてる方もいらっしゃるとかと思います。しかしながら、現場に居合わせた専門家からしてみると、対応が完全に間違っているという・・・。  

2. なぜこんなことが起こったのか

  考えられる可能性として・・・ そもそも政府と岩田氏の目的が違うのではないかと推察します。 というのも  

政府側の目的(こちらは推測です)

 政府としては適用できる法律がなく、検査をする体制も整っていない、さらには日本人だけでなく 多数の国籍の異なる方が乗船しているため、政治的にも慎重な対応がしたい  政治的な対応が先行し、形式的に問題がなく責められる可能性を極力排除するための対応策がしたい  そもそも船内の乗客の安全よりも、日本への侵入を防ぐことが最優先・・・など  

岩田氏の目的

 感染拡大を防ぐことを第一に考えていた  船内の感染症対策をしっかりしたかった  対応のまずさを隠蔽するのではなく、感染症対策上正しい行いをしたかった   ※念のため再度お伝えしておきますが、政府と岩田氏のどちらが良い悪いというつもりはありません。 目的の食い違いから当事者間で摩擦が起きるという事は、会社の中で働いていても往々にしてあることですよね。 目的が異なれば抱える課題が違うんだから当然です。 リーダーからの明確な意思が発せられていて、優先事項や目的がはっきりしていれば、現場での判断もスムーズですし、こんな事は起こりにくくなります。仮に政府の意思として、「船内の乗客の安全確保を最優先にしろ」という指示が明確に伝わっていれば、専門家である岩田氏の意見は尊重され、船内の感染対策が一変していたものと思われます。 ダイヤモンドプリンセス号の件でいうリーダーは首相になるかと思います。 会社組織で考えた場合は経営者ですね。 法的根拠もなく、また何が正解も分からない中で、強烈な意思を発しなければならないと考えると、私のような小心者には心配になります。 経営におきかえても、やはり先の読めない経営環境の中、何が正解かもわからずに意思を発しなければならない。大変な心労があるとは理解しています、が・・・。   それでもやっぱり、リーダーは意思を発しなければなりません。 じゃないと、現場は自分の信じるものに導かれて行動することになります。 岩田氏のお話では、厚労省の中にも岩田氏の力を借りたいと考えていた方もいたようで、当初拒否されていた乗船許可が出ています。 バラバラですよね。  

3. 教訓を活かしましょう

  今回のケースでは、岩田氏のおっしゃられていることの方が世間の理解を得るのではないかと思います。 組織を守ろうとする行為は、方向を見誤ると逆に傷を大きくする、という事は不祥事があるたびに皆さん感じられる事でしょう。 対応のまずさを明るみにだし、謝罪し、今後は方針を抜本的に変更して再構築する・・・、頭では分かっていても、とんでもない労力がかかるものを自ら買って出てまでするものか(隠蔽しきってしまえばこの労力はいらない)。 正しい行いというのは、いつも責任が大きくのしかかり、また手間も時間も取られます。 しかし長い目で見れば、こういった行為は企業としての信頼を高めます。 社会や取引先からの信頼だけでなく、中で働く従業員からの信頼を得ることにもつながります。 そして経営の示す正しい姿勢は、社内での法律となり、組織全体を正しい行いへと導きます。 当然、逆もありますが。 意思がしっかりと伝わっている組織は、権限移譲をどんどん進めることで現場レベルでの意思決定を可能にし、経営スピードも劇的にアップします。  

4. 意思を伝える手段

  経営の意思を伝えるのは、何も言葉だけではありません。 もちろん、日々のコミュニケーションの中で伝える事はとても大事です。効果も絶大だと思います。 ちょっと規模の大きな会社であれば、社員というのは社長から声をかけてもらうだけでもうれしいものです。   社長   しかし、普段発する言葉に対して行動や仕組みがバラバラであれば、せっかくの言葉も全く伝わりません。 むしろ言っていることとやっていることが違う、なんて思われてしまうと逆効果だったりします。 社内で目的や目標の相違による対立が起こってしまった場合、経営者の方はふと自身の行動を振り返ってみるといいかもしれません。 もしかしたら問題は仕組みの方にあるかもしれないです。 教育、評価、報酬といった一連の人事制度は、経営の意思を伝えるための道具です。 普段のリーダーが発する言葉との一貫性が大事になります。   いかがだったでしょうか? 途中、正論ばかり並べたてたものの、私自身必ずしも正い行動ができているわけではありません。 分かってはいるものの、、、というやつです。 最後になりますが、いまだ船内で奮闘されている乗員・乗客、関係者の皆さんのご健康と これ以上の感染拡大がない事をお祈りしつつ…。]]>

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この記事の監修

アクセルパートナーズ 代表取締役二宮圭吾

中小企業診断士
株式会社アクセルパートナーズ代表取締役 二宮圭吾

WEBマーケティング歴15年、リスティング・SEO・indeed等のWEBコンサルティング300社以上支援。
事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等、補助金採択実績300件超。
中小企業診断士向けの120名以上が参加する有料勉強会主催。

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