中小企業向けSBT認証とは?取得方法・要件やメリットを分かりやすく解説!

  • 担当:櫻井 結花子
  • 投稿日:2022年12月08日

SBT認証

環境関係の制度などを調べているなかで、SBT認証という言葉を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

現在、環境関連の言葉として、SDGs、RE100、ISO14001など、様々な用語があります。
しかし、今ひとつどのようなことを意味しているのか?不明瞭である方も多いと思います。
今回は、そのなかでも、これから企業成長のブーストになりえるSBT認証について、取得の必要性、特に中小企業向けSBT認証についての取得のメリット、取得方法、要件を徹底的に解説していきたいと思います。

SBT認証とは温室効果ガス排出量削減に対する国際認証

SBTとは「Science Based Targets」の略です。日本語に訳すと、「科学的根拠に基づく目標」といった意味になります。SBT認証とは、パリ協定と整合性のある温室効果ガス排出削減目標を立てていることを示す国際認証です。

パリ協定は、2020年以降、温室効果ガスの排出削減等の国際的な枠組み(COP21)のことです。2021年、アメリカで行われた気候変動サミットでは「2030年までに温室効果ガスを2013年対比で46%まで減少させる」「2050年までにカーボンニュートラル(=温室効果ガス実質ゼロ)にする」と世界へコミットがなされました。

2050年のカーボンニュートラル達成へ向けて、SBT認証は、個々の企業が具体的な脱炭素アクションを行っていることを示す国際認証として定められました。

SBT認証の取得!必要性とは?脱炭素化の動き

SBT認証の取得がなぜ今必要なのでしょうか?

まず、COP21において採択されたパリ協定が、世界すべての国において合意がなされている点にあります。そして、2021年のサミットにおいて、日本は世界へ2050年までにカーボンニュートラルを達成すると宣言、コミットしました。

現在、大手企業を中心に脱炭素化の取り組みは進められていますが、日本企業421万社のうち、99.7%を占める中小企業の取り組みが進まなくては、コミットメントの達成は叶いません。

今後、大企業だけでなく、中小企業においても、仕入れ、物流、製品、配送、廃棄などさまざまな企業活動の場面で脱炭素化の動きを求められます。

なぜなら、大企業には、取引先への炭素削減基準がSBT達成目標として定められており、自社の脱炭素化への取り組みと同時に取引先へも脱炭素化の取り組みを求める必要があるからです。

すでに、アメリカのApple社はサプライヤーへクリーンエネルギーの調達を求めるプログラムを開始しています。その他、日本においても、イオン、武田薬品工業、大和ハウス工業などの大企業で、すでにサプライヤーへSBT目標の設定を求めています。(参照 環境省 中長期排出削減目標設定等マニュアル )

今、SBT認証を先んじて取得することで、今後数十年に渡る脱炭素化社会におけるスタートアップ企業となることができます。

SBT認証には、現在2種類の認証制度があります。
今回は、中小企業版SBT認証について詳しく解説していきます。

中小企業版SBT認証制度の特徴 「明確」「取り組みやすい」「比較的安価」

中小企業版SBT認証にはどのような特徴があるのでしょうか?もう一種類の通常SBTと比較して、解説していきたいと思います。

・中小企業版SBT認証の取得対象は明確

現在、SBTには2種類の認証制度があります。一つは企業規模にかかわらない、通常SBT、もう一つが従業員500人未満・非子会社・独立系企業を対象とした中小企業版SBTとなります。

・中小企業版SBT認証の削減対象範囲は設定しやすい

SBT認証には「スコープ」という単語が出てきます。

スコープとは、炭素排出のカテゴリです。スコープ1は、事業者自らの直接排出、スコープ2は他社から供給された熱・電気等の使用に伴う間接的な排出、スコープ3は、スコープ1、スコープ2以外の間接的な排出カテゴリを指します。通常SBTの削減対象範囲は、スコープ1・2・3のすべてが対象となります。

中小企業版のSBTの削減対象範囲は、スコープ1・2のみとなっています。スコープ1・2は、自社の燃料の燃焼や電気の使用といった範囲に限られます。

一方、スコープ3は、自社の活動に関連する他社の排出も含まれます。そのため、大企業は、サプライヤー企業へSBTの目標設定を求めるようになる認証システムとなります。

中小企業版のSBTはあくまで自社内での取り組みにて達成可能であるため、取り組みやすくなっています。また、目標達成と目標レベルの設定も明確となっているため分かりやすい制度です。

・中小企業版SBT認証の費用は安い

通常のSBTは、1回4,750USドルが必要ですが、中小企業向けSBTは、1回1,000USドルと約5分の1の費用となっています。

・中小企業版SBT承認プロセスは承認されやすい

通常SBTは企業から目標提出後、事務局による審査が行われ、その結果妥当かどうか判断されます。一方、中小企業向けのSBTは目標を提出すると自動的に承認され、SBTiWebサイトへ掲載されます。

中小企業版SBT取得のメリット3つ

中小企業版SBTを取得することのメリットはどのようなことがあるのでしょうか?

主なメリットについて、3点あげられます。

・資金調達・経費削減に有利 次年度脱炭素化へ向けて1兆円の補正予算案

脱炭素経営を進めることで、不要なエネルギーを多く消費する非効率な工程や設備の更新が進むようになります。その結果、企業における光熱費や燃料費といった変動費の削減が期待できます。また、省エネルギー電力の調達も大きな追加負担なく実施できます。

現在、経済産業省は、令和4年度の補正予算において、省エネルギー対策、カーボンニュートラルへの研究開発や電気自動車への転換補助など総額約1兆円の補正予算を盛り込んでいます。次年度以降も各種補助金、助成金制度も実施される可能性が高くなっており、各種補助金等の活用により、低コストで脱炭素化を進めることが可能となります。(参照 経済産業省関係令和4年度補正予算案のポイント

・他社との圧倒的な差別化が図れる

現在、SBTに参加している企業は、359社(2022年10月31日時点)です。2018年の20社から、4年間で10倍以上に増加している状況となっています。今後、参加企業は増加する見込みです。そして、中小企業版SBT取得企業もすでに90社が取得しています。他社より先に認証を取得することで、サプライヤーとしての優位性の高まる、省エネ企業として知名度の向上が期待できます。

また、資金調達の面においても、優位性を獲得できます。今後、日本の金融機関でも脱炭素経営を進める企業へ融資条件を優遇する制度(サステナビリティ・リンク・ローン)が増加することが期待されているからです。

・SDGs貢献のアナウンス効果が高い

CO2削減といった世界的な社会問題の解決に対して企業として取り組む姿勢を社内外に目に見える形で示すことができます。その姿勢は、社員やステークスホルダーの共感や信頼の獲得に繋がります。脱炭素経営を積極的に取り入れることで、社員のモチベーションアップや社会問題への意識が高い次世代の人材の獲得が進み、ゴーイングコンサーンへと繋がります。

SBTを取得することで、各種補助金、助成金の申請に当たり国際認証は公的なアピールとなり、有効な資金調達に役立ちます。

中小企業版SBTの要件と取得方法

中小企業版SBT認証の要件や取得方法は以下の通りとなっており、現時点で複雑なステップはありません。

・ステップ1 排出量を算定

過去数年分、自社のエネルギー消費量データを収集する。その数値に適切な係数を乗じて排出量を算定します。

・ステップ2 削減目標を設定

目標年は2030年にて固定となっています。そのため、算定結果を基に基準年を自社にて決定し、2030年までに達成する目標設定を行います。

・ステップ3 SBTへの申請・承認確認

基準年と目標設定を決定した上で、SBTiへ承認申請を行います。申請方法はSBTiのWEBサイトから申し込みを行います。

まとめ

SBTは、脱炭素社会へ向けた世界共通の国際認証となります。中小企業版SBTを取得することで、資金調達・経費削減に有利になることや、競争の優位性、社会的な知名度など他社より大きく一歩先へ進むことができます。

政府からは、カーボンニュートラルの実現に向けて、総額1兆円規模の予算配分も予定されています。今後、積極的な交付金制度も想定されます。SBTは、この先、数十年にわたる重要な世界のトレンドとなります。

アクセルパートナーズでは、カーボンニュートラルへ向けた企業の取り組みを共に考え支援を行っています。

SBTの取得や、交付金申請などについて、ご相談、ご質問があればお気軽にお問い合わせください。