ボスとリーダーの違いについて【~トヨタ 春闘 2020~】リーダーシップとは?
- 担当:編集部
- 投稿日:2020年03月08日
目次
1. ボスとリーダーの違い


1.ボス :ボスは私という
1.リーダー :リーダーは私たちという
2.ボス :ボスは失敗の責任を負わせる
2.リーダー :リーダーは黙って処理する(失敗から学ばせる)
3.ボス :ボスはやり方を胸にひめる
3.リーダー :リーダーはやり方を教える(育てる)
4.ボス :ボスは仕事を苦役に変える
4.リーダー :リーダーは仕事をゲームに変える
5.ボス :ボスはやれと命令する(権威に頼る)
5.リーダー :リーダーはやろうという(導く)
※カッコ内にはwikipediaから引用したもの、意訳が入っています。 あとひとつ、個人的に思うところを追加させて頂きますと、6.ボス :ボスは自分の考えと異なるものを排除する
6.リーダー :リーダーはより良いアイデアをメンバーから吸い上げる
といったところでしょうか。 部下に恐怖を与えて支配するボスと、部下の熱意を引き出して導いていくリーダー。 考えるまでもなく、どちらが企業にとって望ましい人材なのか明白ですが…。2. ボス VS リーダー どちらが会社にとって有用?
考えるまでもないといってしまうと説得力のかけらもないので、経営理論や組織論の観点から、 それぞれのケースでどういった効果をもたらす事になるのかを考えていきます。1.ボス :私という
1.リーダー :私たちという
この言葉の対比からは、ボスが自身の成果をあげることにフォーカスしており、リーダーは チームで成果をあげることにフォーカスしている、という事が分かるかと思います。 それでは、なぜチームでの成果を目的とした方がいいのか、ということについて考えていきましょう。 ボスが自分ひとりの成果にフォーカスした場合、部下は自分の成果をあげるための道具として みなされる事が多いと思います。 ひどい場合には、部下の手柄を横取りするなんてこともあるかもしれません。 短期的に見た場合、ボス個人の目標だけは達成されることが多いでしょう。 しかし、部下は極端にモチベーションを落とし、ずっとそんな事が続けば退職者も 後を絶たなくなる、なんてことも・・・。 成果報酬を導入した際に失敗する例がまさにこういった場合です。 個人の業績のみを評価基準としたら、自分の業績だけを追求することが正義になります。 そもそも企業はなぜ沢山の人を雇用し、規模を拡大するのでしょうか?
2.ボス :失敗の責任を負わせる
2.リーダー:黙って処理をする(失敗から学ばせる)
この対比からは、一見ボスの方が正しいんじゃないかと思われる方もいるのではないかと思います。 確かに自分の失敗の責任を負うのは当たり前のことです。しかし、ここでは『失敗』の定義について、 額面通りではない意味が込められていた様に思います。 動画の中で豊田社長が話していた『失敗』とは、単純な『ミス』の事を言っているのではなく、 挑戦をした結果による失敗を指している様に感じました。その前提で話を進めていくと、ここでいう失敗とは 『挑戦』をしなければ起こらないことになります。 仮にここでボスのようなマネジメントが、部下の失敗を咎め、責任をとらせようとした場合どうなるでしょう? 今後は失敗しない方法を選択しますよね?つまり部下は『挑戦』をやめてしまいます。 上司に失敗を咎められ、さらに責任を取らされたあげく「◯◯くんは挑戦をしなかった」 などという評価をされてしまったら、モチベーションが下がるどころの話ではなくなるかもしれません。 経営の神様と呼ばれる松下幸之助氏の言葉で 「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。 成功するところまで続ければ、それは成功になる。」 というとても有名な言葉があります。挑戦からしか新しい価値は生まれません。 不確実性の高まる現代において、「ボスではなくリーダーたれ」という意図は 「部下が挑戦しやすい風土をリーダーとして作ってください」と言っているのだと思います。3.ボス :やり方を胸に秘める
3.リーダー:やり方を教える(人を育てる)
ボスはあくまで自分個人の業績にフォーカスしています。ボスまで昇りつめた人となると、 自身が成績を上げるためのスキルはきっと高いのでしょう。 しかし、そのスキルを部下に伝えてしまうと、他の社員との差別化ができなくなり 自身が霞んでしまいかねません。 しかし会社からすると、ボスの持つ優位なスキルが、個人のみに依存している状態は望ましくありません。 スキルを部下に伝え、会社全体として大きく業績を伸ばす方がいいに決まっています。 でもボスの気持ちもわかります。 苦労して身につけたスキルを部下に教えたおかげで、自分の評価が相対的に下がってしまう、 となるのであれば誰もがボスになってしまいそうです。
4.ボス :仕事を苦役に変える
4.リーダー:仕事をゲームに変える(熱意を呼び起こす)
5.ボス :やれという(権威に頼る
5.リーダー;やろうという(導く)
ここでは最初に、リーダーの役割を明らかにしていきたいと思います。リーダーシップの役割
著書「7つの習慣」で有名な、スティーブン・R・コヴィー博士は、著書の中でマネジメントと リーダーシップの役割を明確にしています。 “リーダーシップは望む結果を定義しており、何を達成したいのかを考える。” リーダーシップとは、目標そのものを明らかにするものだと言っています。 著書に分かりやすい例えが載っていたので少し抜粋させて頂きます。 ジャングルで森を切り開く作業を行っているチームの例えです。 ・作業チーム :生産に従事し、現場で問題を解決する人たちで、 彼らは草を刈って道を切り開いていく。 ・マネジメント:その後方にいて、斧の刃を研ぎ、方針や手順をきめ、筋肉トレーニング を開発し、新しいテクノロジーを導入し、作業スケジュールを作る。 ・リーダー :ジャングルの中で一番高い木に登り、全体を見渡して 「このジャングルは違うぞ!」と叫びメンバーを方向付ける。 リーダーとは、日常業務の喧騒から少し離れたところから内部と外部の環境を見極め、 チームの進むべき方向に動機づけをしながら導く人の事です。 プロジェクトのリーダーに任命された人は、プロジェクトを成功させるために 一生懸命考えると思います。 プロジェクトを成功に導くためには、まず最初に目標や危機感を共有し、チームに 一体感を生み出し、動機付けをする必要があります。 より良い成果をもたらすために、メンバーの意見を尊重・共有し、心理的安定性を 高める雰囲気を作ります。そして、目標達成のために最適なやり方を模索して、 PDCAサイクルを回し進捗を管理する。 ※下線部分は7つの習慣ではマネジメントの役割と定義されますが、優秀なリーダーはこの部分も 兼ねているんじゃないでしょうか リーダーシップという言葉は、ある目標に対して主体的に取り組む際、そのリーダーが 一生懸命考え抜いた末にとった理想的な行動のことを総称する言葉だと思っています。 さて、上記で説明した通りリーダーの役割というのは、マネジメントの様な日常業務の 一つ上にいなければなりませんので、会社組織で言えば経営の役割ということになりますね。 マネジメント層やチームメンバーを動機づけて燃え上がらせる、これは経営でなければ できない仕事になります。 翻ってボスは仕事を苦役に変える・・・というのは、仕事の意味を理解させずに ただ上から「やれ」と命令をするからですね。 それがなぜ良くないのか、動機付けに関する理論を使ってお伝えしていきます。 動機付け理論のひとつとして、心理学者のハックマン、経営学者のオルダムによって 提唱された職務特性モデルという理論があります。これは、仕事自体の特性によって 動機づけが成されるというものです。